「会見レポ」ポン・ジュノ監督&ソン・ガンホ“日本でも異例の大ヒット!”アカデミー賞受賞「パラサイト 半地下の家族」凱旋来日記者会見開催

Q.ポン・ジュノ監督とソン・ガンホさんは4度目のタッグとなりますが、お互いの素晴らしいところ、お互いにとってお互いがどういう存在なのか教えてください。
ポン・ジュノ監督:好きな俳優です。演技が本当に素晴らしい。この役柄を演じるのはこの方なんだと頭で思い描きながらシナリオを書いていると、心がとても穏やかになって、とても楽な気持ちになって、自信も沸いてきます。まるで草の上を走り回っている子馬のような自由な気持ちになります。

ソン・ガンホ:普通、撮影現場で監督と俳優はたくさん話すと思われると思いますが、私はあまり話はしません。私の場合、この作品を通して監督は一体何を語ろうとしているのか探っていくのが好きなんです。それは俳優として難しい過程ではありますが、同時にとても楽しい過程でもあります。ですから、現場ではあえて監督に尋ねるのではなく、自分で見つけていこうとしています。この20年間、監督と一緒にたくさんの仕事をしてきましたが、それを振り返って感じることは“祝福”でもあり“苦痛”でもあるということだと思います。“苦痛”というのは、芸術家としてポン・ジュノ監督が目指している高い野心を、私が俳優として十分に達成すべきであるという“苦痛”であります。

Q.「パラサイト 半地下の家族」を通して、監督が1番伝えたかったことは何でしょうか。
ポン・ジュノ監督:全世界で同じ状況に置かれ、同じ“苦痛”というものを抱えていると思います。それがいわゆる“二極化”という呼び方もされていますが、その“二極化”を暴きたかったという意図よりも、未来に対する恐れという感情が強かったです。私自身、息子を1人育てていますが、未来の私たちの社会がこの“二極化”を克服しうるのか、それは容易いことではないように思います。私は悲観主義者ではありませんが、今後私たちはどうしていくべきなのか、今私が抱えている不安や恐れというのは、例えクリエイターでなくても、この時代を生きているすべての人々が抱えているのではないかと思います。なので、この不安や恐れを率直に映画で描いてみたいと思いました。そのメッセージやテーマを伝えるうえで、私は普段から真顔で伝えるというよりも冗談交じりに伝えることが好きなので、この映画でも自分が伝えたいメッセージを声高に主張するのではなく、あくまでも映画的な美しさ、映画的な活力の中で、シネマティックな興奮があるなかで伝えていきたい、俳優さんたちによる豊かな感情とともに伝えたいという気持ちがありました。

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  • 2020.02.24