「会見レポ」ポン・ジュノ監督&ソン・ガンホ“日本でも異例の大ヒット!”アカデミー賞受賞「パラサイト 半地下の家族」凱旋来日記者会見開催

Q.映画を作る時に1番目標にしていること、心がけていることがあったら教えてください。
ソン・ガンホ:アメリカの俳優組合賞において、アンサンブル賞というのを「パラサイト」チームが受賞しました。その時に私が代表して受賞のコメントをしたのですが、この映画は「パラサイト」というタイトルがついていますが、内容を見てみると、私たちはこの社会をどう生きていけばいい世界になるのか、“寄生”ではなく“共生”を描いた作品になっています。その作品がアンサンブル賞を獲れたということで、私たちはちゃんとこの映画を作ることができた、ちゃんと伝わったんだと感じることが出来ました。映画を作るということは、それに快感を伴い、価値を見出すことが出来ます。この「パラサイト」という映画を観た方たちが、同じ快感や価値を味わうことができたからこそ、世界中で好意的に受け止めてもらえたのではないかと思います。おそらくポン・ジュノ監督も同じだとは思いますが、映画を作るにあたって必ずしも何か大きな意味がなければダメだとは思っていません。自分たちが映画を通して表現したいことを、いかに面白く、興味深く表現できるか、どのようにしたら観客に伝えられるかということを、俳優として常に探求し、研究しているところです。
ポン・ジュノ監督:私は映画を作るときに、実は目標があるのですが、恥ずかしくてお話しするのは憚られるのですが、告白しなきゃならない状況ですよね(笑)自分で言うのは恥ずかしいのですが、自分の作品がクラシックの映画になってほしいという妄想を持っています。クラシックになるということは、つまりその映画が時間や歳月を乗り越えていったということになります。例えば、キム・ギヨン監督の「下女」や黒澤明監督の「七人の侍」、アルフレッド・ヒッチコック監督の「めまい」のような作品が作りたいと思っていますが、これはもう妄想ですよね(笑)そうするために映画を作る時は、自分が書いているストーリーと1対1で向き合うことを心がけています。透明な状態で向き合うこと、他の何か目的を持ったり、例えば何か賞を獲りたい、どこかの国で興行的に成功して欲しいという不純物が混ざることなく、あくまでもストーリーと向き合って自分自身が対決するような透明な状態で映画を準備することを心がけています。

Q.多くのメディアが、韓国の半地下での生活について興味本位で取材していることに関してどう思いますか?
ポン・ジュノ監督:色んな国によって様々な住居形態というものがありますが、裕福な豪邸やそうでないエリアは混在していますが、半地下という住居形態はかなり独特なので、日本や他の国のメディアも関心を持たれたのではないかと思います。半地下だけでなく、映画の冒頭に登場するスーパーマーケットや、雨のシーンで出てくる階段など、多くの映画ファンの方がロケ地巡りをしているという状況が起きています。映画の人気に伴うことではありますが、実際そこに住んでいる街のみなさんには苦労をかけてしまっているので申し訳ない気持ちです。メディアの方が取材に来たり、ファンの方がロケ地巡りをしているということに関しては、その場所が深い山奥や無人島ということではなく、リアルに普通の人々が生活している場所ですので、その方たちにご不便をかけないことを最優先に配慮してほしいです。クリエイターとしては、実際にある場所に関心を持っていただけるという効果はあったわけですが、そこに住んでいるみなさんにはご不便をおかけしてしまったという点については申し訳ないと思っています。

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  • 2020.02.24