「イベントレポ」パク・チャヌク監督最新作『別れる決心』 作家桜庭一樹 × コラムニスト山﨑まどか 本作への愛を語り尽くす! 「両想いが必ずしもいいわけではなく、それが生んだ悲劇もある」


話題はラブストーリーとしての感想に。山崎は「これは恋愛の不条理だと思う。この関係性のどちらか一方がすごく有利なゲームではない」と断言し、「みんな、想っている人に想われることは幸せなことだと思っているかもしれないが、それが恐ろしいことでもあると伝えているのが『別れる決心』。そこがすごくいい。両想いが必ずしもいいわけではなく、それが生んだ悲劇もある」と強調した。続けて「みんな恋愛に関しては、贅沢品みたいに考えたりするけれど、誰にでもこういう恐ろしさを経験する危険性があるということにおいて、恋は平等なのかなと思った瞬間がありました」と山崎が話すと「誰の身にいつこのようなことが起こるかわからない。今起こっているかもしれない」と二人で声を揃えた。


自身も作家としてサスペンスやミステリーを執筆する桜庭は、「容疑者が本当に犯人かわからないところから始まり、刑事の心がアップダウンしていく様子が面白く、レトロなノワール感もとても好きでした」と話し、山崎も「ミステリーとしても、生半可ではないもの見せてくれた」と、その面白さに太鼓判を押す。また「とても古風だが新しい器に入っている」(山崎)と本作を表現し、その理由として本作にスマートフォンが登場し、劇中で様々な機能が駆使されていることを挙げる。「サスペンスやロマンティックコメディは肝心なところでスマホが使えない・通じないなど封じ手になるところを、本作ではものすごく上手に使っている」と力説。その使い方が上手く映画に組み込まれていることについて触れ、「この使い方が新しい。ロマンティックに、サスペンスフルに使っており、脚本の妙ですよね」と話し、桜庭も「スマホをロマンティックに使えと言われても難しい」と共感した。最後に「パク・チャヌク監督にしては直接的なシーンが無いにも関わらず、見せない、抑えることで“すごく官能的”に感じた」と話す山崎に、桜庭も「抑えること、言わない、見せないことで伝わることってこんなにあるんだなと改めて思った」としみじみとアピールした。

<STORY>
男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュン(パク・ヘイル)と、被害者の妻ソレ(タン・ウェイ)は捜査中に出会った。
取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしか刑事ヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたへジュンに特別な想いを抱き始める。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。
しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった……。

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監督:パク・チャヌク  脚本:チョン・ソギョン、パク・チャヌク
出演:パク・ヘイル、タン・ウェイ、イ・ジョンヒョン、コ・ギョンピョ
提供:ハピネットファントム・スタジオ、WOWOW  配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題:헤어질 결심|2022年|韓国映画|シネマスコープ|上映時間:138分|映画の区分:G
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公式HP:https://happinet-phantom.com/wakare-movie/

公式twitter:https://twitter.com/wakare_movie  #別れる決心

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2023.02.10