ドラマ『華政(ファジョン)』の主人公は貞明(チョンミョン)公主(コンジュ)だったのだが、このドラマの前半でものすごい存在感を持っていたのが、なんといっても金介屎(キム・ゲシ)だった。 彼女は悪の象徴だったのか 金介屎は、もともとは14代王・宣祖(ソンジョ)に直接仕えた女官だ。文書の扱いが巧みなことで…
テレビのローカル局やBSなどで繰り返し再放送されて日本で根強い人気を持つのが『トンイ』だ。『宮廷女官 チャングムの誓い』でよく知られるイ・ビョンフン監督が2011年に制作した作品である。 張禧嬪のライバルだった ドラマ『トンイ』の主人公になっているトンイというのは、史実では淑嬪・崔氏(スクピン・チェ…
写真=韓国KBS『雲が描いた月明り』公式サイトより 世子(セジャ)は、国王の正式な後継者のことだ。どんな経緯を経て世子が選ばれたのだろうか。原則からすれば、国王の長男がまず元子(ウォンジャ)という世子の筆頭候補になる。元子のために特別な組織が作られ、元子は大事に育てられる。  …
朝鮮王朝は国王を頂点とする中央集権国家だった。国王は現在でいえば、大統領であり、総理大臣であり、最高裁長官であった。あらゆる権限が国王に集中していた。しかし、政治の実務を具体的に担っていたのは、科挙に合格して出世してきた官僚たちであった。彼らは各官庁で高い役職について、行政を取り仕切っていた。 六曹…
写真=MBC『オクニョ』公式サイトより 朝鮮王朝は一夫一婦制であり、国王もしっかり守っていた。つまり、在位中に王妃は1人だけだった。側室は多くて10人くらいいたのだが……。ただし、王妃が亡くなったり離縁されたりすると、国王はすぐに再婚した。よって、国王は27人だが、王妃は…
朝鮮王朝では女官がいる組織全体を内命婦(ネミョンブ)と呼んでいた。ここに所属する女官は、5歳から10歳くらいの間に王宮に入ってくる場合が多かった。そんな子供たちは一人前の女官になるための指導を徹底的に受けて、成人すると「料理」「衣服」「洗濯」「刺繍」などを担当する各部署に回されていった。  …
韓国時代劇を見ていると、主人公が様々に活躍する中で、とてもよく出てくるのが捕盗庁(ポドチョン)という役所だ。この捕盗庁は、犯罪人をつかまえるために捜査や検挙に全力を尽くす警察組織で、ときに捕庁(ポチョン)と呼ばれることもあった。 象徴は赤い縄 捕盗庁が正式な役所になったのは、11代王・…
518年間も続いた朝鮮王朝には、27人の国王がいた。今も残る名前は「諡(おくりな)」である。つまり、死後に贈られた尊称であり、本人が生きているときは知らなかった名前だ。それでは、その諡はどのように付けられたのだろうか。 国王の名は3つに分類される 1392年に朝鮮王朝を建国した李成桂(…
1623年、綾陽君(ヌンヤングン)がクーデターを成功させて、光海君(クァンヘグン)を王宮から追放した。代わって、綾陽君は16代王・仁祖(インジョ)として即位した。これによって、離宮に幽閉されていた仁穆(インモク)王后と貞明(チョンミョン)公主(コンジュ)は解放された。 3歳年下の婿 す…
9代王・成宗(ソンジョン)は、王として実に多くの業績を残している。しかし、女好きがたたり、多くのトラブルも起こしてしまった。その筆頭が、廃妃・尹氏(ユンシ)との問題だった。 仁粋大妃の忠告 成宗は1469年に12歳で即位すると、7代王・世祖(セジョ)の功臣の娘を妻に迎えた。一種の政略結…