「実際に審議に気を遣ってみるならば、コンテンツを制作する立場では萎縮するほかはないのが現実です。審議に引っ掛かりそうな素材や内容を、編集ですべて持ち出さなければならないだけでなく、放送素材を選ぶ時の多様性の側面でも限界なのが克明です」
OTT(動画配信サービス)と地上波・総合編成チャンネル間の放送通信審議委員会(以下、放審委)の審議に対する公平性問題は、引き続き提起されてきた。特にOTTは、審議から自由なだけにコンテンツ話題性の側面で優位にあるという制作現場の指摘も出ている。専門家たちは、Netflixオリジナル「すべては神のために:裏切られた信仰」(以下「すべては神のために」)のように、韓国国内の地上波放送会社のプロデューサーとNetflixの協業が活発になった今、OTTコンテンツもやはり、過去の審議概念のアプローチよりは、時代的な流れに合ったアプローチが必要だと指摘する。
審議で自由なOTT→刺激的な素材で話題性の優位を占める
最近、世界的に話題になった「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」(以下「ザ・グローリー」)は、ヘアアイロン校内暴力の素材はもちろん、劇中で悪役たちの麻薬や不倫、露出、殺人などが赤裸々に扱われた。ドキュメンタリーである「すべては神のために」も、やはり再演シーンの描写などにおいて、扇情的という指摘が引き続き提起されてきた。それでも話題性は高かった。「ザ・グローリー」パート2の場合、公開から3日でグローバル1位を達成したかと思えば、「すべては神のために」は韓国国内のNetflix視聴ランキング1位を記録した。刺激的であるだけに話題になるのは成功したが、地上波であったら明らかに入れることができなかったシーンたちだ。
これは、該当コンテンツについて放審委が別途審議をしないから、可能なことだ。放審委の関係者は最近、ある韓国メディアの取材に、「現行法上NetflixなどのOTT関連コンテンツを、審議するに値するものはないとしている」と伝えた。
実際に、現行放送法第32条によると放審委は放送・中継有線放送および電光掲示板放送の内容と、その他に電気通信回線を通じて公開を目的に流通する情報のうち、放送と似ていることに対して公正性と公共性を維持しているのかどうか、公的責任を遵守しているのかどうかを審議・議決する。さらに制裁措置を直接明示した100条によれば、放送事業者・中継有線放送事業者・電光掲示板放送事業者または、外注制作会社に限って制裁ができると明示している。
(2ページに続く)