「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.131 「これぞ名作『応答せよ1997』」

強烈な両親

1997年という時代もポイントだ。
韓国にとって1997年という年は大変だった。
経済危機が起こって国中に失業者があふれていた。さらに音楽界もアイドル路線が人気を集めていた時期だ。
そういう意味で言うと、韓国社会が大きく動こうとしている時期をダイナミックに描いたのが『応答せよ1997』である。
物語がとても重層的だ。高校生の男女の初恋が中心とはいえ、そこにからんでくる人たちがいい。

特に、チョン・ウンジが演じる女子高生シウォンの両親がひんぱんに出てくるが、この夫婦が強烈だ。ずっと、言い争ってばかり。見ているほうがハラハラするほど。日本からすれば『あまりにも騒がしい』と感じるかもしれないが、『日本も韓国も変わらない。どこでも同じ』と面白く見られるのも確かなのだ。
主人公のシウォンはアイドルの追っかけなのだが、それを父親がすごく嫌っていて、シウォンの部屋に貼ってあるポスターを破いたり、シウォンがソウルまで追っかけをしたことを怒って娘の髪を切ったりする。
ドラマの中では父と娘がいがみあっているが、結局は親子の情愛がうまく描かれていてホロリとさせられる。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

 

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  • 2020.09.26