「コラム」ソウル麻浦の「文化備蓄基地」で出会った未来の「TWICE」

それから2年あまり、ここは既に有名な場所となった。ソウル市民が自ら選ぶ「ソウル新名所」の第2位となり、「防弾少年団」 (BTS)のファンが1万人余り集結して「ARMY UNITED in SEOUL」の行事が開かれたりもした。

この施設の事を聞いた時、頭によぎった疑問があった。「石油の備蓄」はよく分かった。しかし、「文化の備蓄」は何だろう?公演場が作られるだけで文化が備蓄できるのか?その疑問に対しては、予想より遥かに早いうち、答えが出てしまった。

ここを訪問したのは真夏の日。晴天の空からは強烈な太陽光線が注いでくる。風もあまり吹かないこの日の午後、石油を溜めていた巨大なタンクの跡地。少しの日陰に3人組の女性が汗をだくだくと垂らしながら舞台を行っていた。演劇なのか、ミュージカルなのか、良く分からない舞台だった。3人の女性の他にはスタッフも観客もいない。まさに「草の根」の舞台だ。

「時間割」が書いてあり、多分その時間が過ぎると次の若者が舞台を行うようだ。我々の一行が近づくと、3人の顔には薄い微笑みが浮かぶ。そうだ、韓国にはこの3人のように夢を求め、汗を流しながら自分を表現したい沢山の若者がいるのだ。大衆文化の華「芸能人」になれる保証はそもそもないし、成功の確率も宝くじのようなものなのに、才能のある若者がその夢を追い続ける。当然失敗もあるが、その沢山の失敗の経験を「備蓄」しながら、新たに生まれてくる文化は韓国の強みである。新たな文化が生まれるためには、試行錯誤を恐れず、青春を惜しまず夢に捧げる若者の汗の「供給」と「備蓄」が必要だからだ。

彼女たち3人の表情を見ながら、日本から韓国に渡りアジアや世界を目指している3人の日本人女性を思い出した。そう、「TWICE」の日本人メンバー3人のことだ。国境の壁も言葉の壁も恐れずに海を渡った勇気ある彼女たちは今、まさにアジアを越え、世界を目指している段階に来ている。そして、彼女たちに刺激を受けたかのようにもう3人の日本人女性がソウルをベースに活動している。「IZ*ONE」の日本人メンバー3人だ。

ソウルの旅は続く。

 

WOW!korea提供

 

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