「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.218「日本でリメイクされる『梨泰院クラス』」

2年前に制作されて日本でもブームを起こした『梨泰院(イテウォン)クラス』が、『六本木クラス』というタイトルでリメイクされて7月からテレビ朝日系で放送されることになった。これを機会に、『梨泰院クラス』のドラマとしての面白さを改めて論じてみよう。

写真=JTBC『梨泰院クラス』公式サイトより

普通のドラマではない

パク・ソジュンが主演した『梨泰院クラス』のメインのストーリーは復讐劇だ。主人公のパク・セロイは巨大外食産業の会長とその息子から耐えがたき屈辱を受け、父親も殺されてしまった。
パク・セロイにはやるべき復讐があり、それが果たされていく過程がドラマの主要な筋立てだった。
普通のドラマだったら、この復讐劇だけで全編をおおっていたことだろう。
しかし、『梨泰院クラス』は普通ではなかった。特別な仕掛けが二重にも三重にも張り巡らされていた。
まずは、見る者をワクワクさせるような投資だ。
パク・セロイは貯めた資金を増やす才能に優れていて(同級生が心強い専門家となっていた)、次々に先を読んで投資を成功に導いていった。
このように、梨泰院の飲食店を経営しながら自らの才覚で次々に成功していくプロセスは、復讐劇と同じように興味深かった。

感動的な人生ドラマ

さらに、『梨泰院クラス』には見る人の心を動かす人生物語があった。
とにかく、パク・セロイは仲間を信頼して一緒に事業を立ち上げていく志が高かった。
自分だけが上に行こうとしたわけではない。みんなで一緒に成功していこうという気持ちがパク・セロイを奮い立たせていた。
その仲間は本当に十人十色だった。それでも一つの枠にはめようとせず、個性を尊重して他人との違いを認め合っていた。そのように、多様性を受け入れる度量がパク・セロイにはあって、仲間が一致団結することができた。
その中から心を震わせるようなエピソードが次々と生まれ、『梨泰院クラス』は感動的な人生ドラマになった。
復讐劇があり、事業の成功物語があり、人間賛歌の感動があった。それらをすべて含んで、
『梨泰院クラス』はあれほどの人気ドラマになった。
『六本木クラス』は果たして、どのようなドラマになるのだろうか。注目して7月の放送開始を待ちたい。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

2022.06.04