朝鮮王朝時代を描いた韓国時代劇を見ていると、ひんぱんに出てくる官庁の1つが捕盗庁(ポドチョン)だ。『オクニョ 運命の女(ひと)』にも捕盗庁がよく登場する。この役所は、果たして何をするところなのだろうか。 犯罪人を捕まえる官庁 朝鮮王朝の官庁制度によると、現在の警察組織のような任務を帯びていた役所には…
朝鮮王朝時代は身分制度が厳格であり、両班(ヤンバン)のような上流階級の屋敷では、身分が低い人たちが様々な雑役を担っていた。そうした人の中で、特にお茶に関する仕事をしていたのが茶母(タモ)である。 事件の捜査の補助的な仕事 現代韓国で茶母の存在が知られるようになったのは、人気を博した『チェオクの剣』の…
朝鮮王朝時代の女性を語るときには、「内命婦(ネミョンブ)」と「外命婦(ウェミョンブ)」という言葉がよく出てくる。どういう意味なのだろうか。ここで具体的に説明していこう。 正一品は「嬪」 まずは、内命婦について。 本来は、王宮で奉職している女官の中で品階がある人のことを内命婦と言った。しかし、広い意味…
幼い国王が即位したとき、王族の最長老女性が摂政をすることを「垂簾聴政(すいれんちょうせい)」と呼んだ。歴史的には中国の皇室でよく行なわれたことだが、それは朝鮮王朝も同じだった。この場合、王族の最長老女性に該当するのは、幼い王の祖母か母であった。 王に成人に達するまでの代理 朝鮮王朝の国…
朝鮮王朝時代に上流階級の男性が好んでかぶった程子冠(チョンジャグァン)は、儒教を象徴するような冠だ 朝鮮王朝の前の高麗王朝は、国教が仏教だった。しかし、仏教寺院が私有財産を増やして政治に介入し、国家衰退の原因になった。反対に、1392年に建国された朝鮮王朝は、仏教より儒教を重んじる体制…
『オクニョ 運命の女(ひと)』に登場する鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)。彼女はもともと奴婢(ぬひ)だった。つまり、最下層の出身だったのだが、文定(ムンジョン)王后の弟の尹元衡(ユン・ウォニョン)の妾になって宮中でも高い地位についた。身分制度を突き抜けるような出世を果たしたのだ。そうした例を頭に入れなが…
ドラマ『オクニョ 運命の女(ひと)』は、朝鮮王朝でも13代王の明宗(ミョンジョン)の統治時代が舞台になっている。明宗の父親は中宗(チュンジョン)で、兄は仁宗(インジョン)である。3人とも、名に「宗」がついている。これには、どんな意味があるのだろうか。 「宗」がつくのは18人 1392年に建国された朝…
古代の朝鮮半島で一番の国際人といえば、それはもう張保皐(チャン・ボゴ/?~846年)をおいて他にいない。彼は海を支配して日本や中国と自在に貿易を行ない、国王をしのぐほどの力を手に入れた。そのスケールの大きな活動は、古代史の中でもさん然と輝いている。 唐で将軍になった 張保皐の生年はよくわかっていない…
朝鮮王朝では国王が絶対的な権力者であったが、実は国王以上に目立っていた王妃が何人もいた。それは、元敬(ウォンギョン)王后、貞熹(チョンヒ)王后、仁粋(インス)大妃、明聖(ミョンソン)王后、純元(スヌォン)王后の5人だった。 朝鮮王朝前期の3人 ◆元敬(ウォンギョン)王后 〔1365~1420年〕 3…
668年に高句麗(コグリョ)が滅んだあと、その領地に住んでいた遺民たちの運命は大きく分かれた。捕虜として唐に連れていかれた人もいれば、難民として新天地をめざした人もいる。ただし、多くの遺民は旧領地に残って、志がある人たちは唐への抵抗運動を続けた。 高句麗国王の姓 抵抗運動に手を焼いた唐は、高句麗の遺…