「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.162「NHKで放送中の『ヘチ』が快調」

二大派閥の対立

『ヘチ 王座への道』が描いている時代は1720年代の前半だ。
この時期は朝鮮王朝も波乱万丈だった。
強力な国王だった粛宗(スクチョン)が1720年に亡くなり、長男の景宗が即位した。しかし、この王は絶対権力者としての威厳に欠け、決断力も弱かった。それゆえ、異母弟のヨニングンは政治の表舞台で大いに頼られて、結局は世弟にまでなったのだ。
こうなると、景宗を支えている少論派とヨニングンを支持する老論派の対立が激化して、国論は真っ二つに分かれてしまった。

とにかく、少論派と老論派の二大派閥が厳しく競い合って王宮内でも騒動が絶えなかった。それだけ不穏な空気になりやすいのだが、最終的にヨニングンは世弟の務めを立派にやりとげて、王朝を安定させていった。
そうしたヨニングンの活躍ぶりを『ヘチ 王座への道』ではチョン・イルが究極的に表現していた。それは、史実を彷彿させて興味深かった。
ドラマは後半に入ったばかりなので、前半の山場を押さえてストーリー展開の流れをつかめば、後半の1話1話が本当に心に響いてくる。
そして、日曜日になると、いつものようにチョン・イルの哀愁を帯びた表情をたっぷり堪能できるのである。

文=康熙奉(カン・ヒボン)

2021.05.08