「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.161「余韻がすばらしい『ナビレラ』」

人生の哀歓

正直言って、チェロクには老人がバレエをするのは無理だと決めつけている。それだけに、やる気がない。
結局、チェロクは何度もドクチュルとぶつかってしまうのだが、その中で徐々に老人と若者の間で心の交流が芽生えていく。
こうして、珠玉の物語が展開されていくのだが、『ナビレラ』では人生において夢中になれることを追い求めていくことがいかにすばらしいかが描かれている。
ドクチュルの努力はチェロクを大きく動かし、若者も老人の熱意に動かされて自分で大切なものをつかんでいくのである。

全体を通して数々のエピソードが心地よく響き、淡々とした映像も美しい。さらに、バレエの数々のシーンが圧巻である。チェロクの躍動感もすばらしいし、ドクチュルの懸命さも心を打つ。
最近の韓国ドラマは本当に面白いが、その中でも『ナビレラ』は人生の哀歓が素直に描かれていて好感を持てる。
それが、多くの視聴者を魅了した秘訣かもしれない。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

2021.05.01