「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.129「まさに傑作『マイ・ディア・ミスター』」

スリリングな展開

まずはイ・ソンギュンとIUの演技がすばらしい。そのことを強調したい。
さらに見ていて感心したのは、描かれているエピソードの多彩さだ。その場面は主に2つに分けられる。
1つはドンフンが巻き込まれている社内抗争だ。
社長派と反社長派が激しく対立し、その中でドンフンとジアンが巻き込まれていく。非常にスリリングな展開の連続だ。
もう1つはドンフンの家族愛と地元愛。
ドンフンは三兄弟の二番目で、長男と三男ととても仲が良くていつも一緒に飲み歩いている。

そんな彼らが行く地元の酒場が、うらやましいほど盛り上がっている。酒好きな人なら、誰もがあの酒場で飲みたいと思うことだろう。
こうして『マイ・ディア・ミスター』は社内抗争とドンフンの私生活が縦横に絡み合い、最高の物語に仕上がっている。
1つだけエピソードを加えたい。
ドンフンの兄は清掃業を行なっているが、ビルのオーナーから理不尽な仕打ちを受ける。その末に土下座せざるを得なくなり、愛する母親にその屈辱を見られてしまう。それを知ったドンフンが、ビルのオーナーに仕返しをする場面が痛快だ。しかも大いに泣ける。
こういうエピソードが『マイ・ディア・ミスター』には次から次へと出てきて、見ている人を最良のドラマの世界にいざなってくれる。

文=康熙奉(カン・ヒボン)

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  • 2020.09.12