世界中で高い評価を受け、話題沸騰の本作だが、そんな世界の熱狂ぶりを「全く予想していなかった」というポン・ジュノ監督。「楽しい騒動、楽しいアクシデントとして受け止めています。日本でもそのような騒動が起きてくれたらうれしいです」とし、「ガンホ先輩だけでなく、全キャストが素晴らしいアンサンブルを見せてくれた作品なので、俳優の魅力によるところが大きいと思います。俳優が表現している感情の言語、人間の感情は万国共通の言語だと思うので、その感情が表現されたことによって、同時多発的に良い反応が起きているのではないかと思います」と分析した。
ソン・ガンホは「この物語は韓国に限らず、地球上の全ての人の物語だと思います。それをポン・ジュノ監督が温かい視線で描いたので、多くの共感を得られたのではないかと思います」とし、「先ほど俳優の手柄だと言ってくださいましたが、ポン・ジュノ監督の約20年にわたる努力、作家としての野心がこの作品で実を結んだと思います。そう考えると、ポン・ジュノ監督が一人で叶えたものではないかと思います」と監督を称賛した。
また、すでに本作を見た観客から「ネタバレ禁止」運動が起こっているほど、先の読めない展開にハラハラさせられるが、物語は大学生の息子が、裕福な家に家庭教師に行くところからスタートする。実は、ポン・ジュノ監督も大学時代、家庭教師をしたことがあり、本作はその経験から着想を得た作品だという。「裕福な家庭の中学生の男の子を教えたことがあり、家の様子を隅々まで見る機会がありました。その仕事を紹介してくれたのが、当時の彼女でした。その彼女というのが、今の妻です。なので、なんとなく映画と似通った点があるのではないかという気がしています。でも、幸いにも2カ月でクビになったので、この映画の展開のように、おぞましい事件はなかったですが、シナリオを書いていたときは、当時の記憶が蘇ってきました」と明かした。
ちなみに、ソン・ガンホがこの作品の構想を聞いたのは4年前だったという。「貧しい家族と裕福な家族が出てくる話だと聞いたので、僕は当然、裕福なパク社長(イ・ソンギュン)の役だと思いました。年齢も年齢だし、この間、品位も高まってきたので。まさか半地下に連れて行かれるとは想像もしていませんでした(笑)」と本作では貧しい一家の大黒柱を演じたソン・ガンホ。「すみません」と日本語で苦笑いするポン・ジュノ監督に、「次は大雨が降るとか、階段が出てくる話には出演したくないです」とキッパリ話し、会場を笑わせた。
(3ページヘ続く)