リエゾンの具体例
リエゾンが行なわれるときには2つの大原則があります。
1つ目は、前の音にパッチムがあることであり、2つ目は、後ろの字の子音が「ㅇ」か「ㅎ」で始まるときです。この2つの大原則を満たしていれば、発音をやりやすくするためにハングルではひんぱんにリエゾンが起こります。
具体的に、リエゾンの例を見ていきましょう。
<正式な表記> <発音上の表記>
簡易 간이(カン・イ) → 가니(カ・ニ)
KAN I KA NI
達人 달인(タル・イン)→ 다린(タ・リン)
TAL IN TA LIN
信号 신호(シン・ホ) → 시노(シ・ノ)
SIN HO SI NHO
「簡易」という漢字のハングル読みは「カンイ」が「カニ」になり、「達人」の場合は「タルイン」が「タリン」となります。また、「信号」は本来なら「シンホ」ですが、リエゾンされると「シノ」になります。この場合、「号(HO)」の「H」の音が脱落しています。
リエゾンをしないで文字のとおりに読んでも間違いではありません。そのまま1文字ずつ正確に読んでいってもオーケーです。
ただし、リエゾンできる場合は、それを生かしたほうが発音がずっとしやすくなります。ぜひ試してみてください。
子音同士は仲良くない
康「韓国語は特にパッチムが多いからリエゾンが増えますね」
ウィ「そうです。別の言い方をすると、リエゾンにするためにㅇが用意されているんです。仮にパッチムで終わってまた子音が来ると、子音同士は仲が良くないのですが、子音のパッチムの後にㅇがあると、とても発音しやすくなります」
康「本当に、リエゾンがあるから韓国語があれだけ滑らかになるわけです。たとえば、人の名前にもリエゾンができるような『이』とか入れて、『ユジン』だったら『ユジニ』とかになりますね。あれですごく言いやすくなると思います」
ウィ「そうですね」
康「韓国語を話すときは、発音しやすくするために常に変化しているんだなということを頭に入れておけば、どんどん話しやすくなるでしょう」
ウィ「ただし、リエゾンがあることによって元の原型が崩れてしまいます。そこは、注意しながら慣れていく必要があります。やっぱり、韓国語を学習する人はリエゾン(連音化)が難しいといつも言っています」
講師=ウィ・ソンジュン+康熙奉
(写真右)ウィ・ソンジュン(魏聖銓)
1968年ソウル生まれ。1992年に来日し、学習院大学で日本語日本文学博士を取得。現在は法政大学をはじめ、多くの大学で韓国語を教えている。著書は『New!韓国語&会話』(右文書院)など。コラムニストとして日韓の文化の違いについても論じている。
(写真左)康熙奉(カン・ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人2世。韓国の歴史・大衆文化や日韓関係を描いた著書が多数。主な著書は『ヒボン式かんたんハングル』『韓流スターと兵役』『韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の歴史と人物』。