「インタビュー」「愚行録」妻夫木聡“ハ・ジョンウさんは兄のような存在…また一緒に演技をしたい”

Q.時々田中は感覚を失った人のように見えます。カメラが彼の顔に集中する時の薄暗い深みが感じられました。田中を演じるのに参考にしたことはありますか?

妻夫木聡:まず脚本を読み、はたして記者たちはどのような取材をするのか、新聞社に直接足を運びました。記者たちに直接取材をしたり……。でも、特に参考にした対象はありません。自然にそんな表情が、そんな演技が出てきました。

Q.田中は話し手ではなく、主に聞き手として登場します。回想を通じて個々の描写が表れる他のキャラクターより、色々描きにくいキャラクターだったと思いますが。

妻夫木聡:難度の高い演技ではありました。すべての台詞を意味深く伝えようとすると、ただ単に台詞になってしまいます。良い台詞であればあるほど素敵に表現しようと思うかもしれませんが、なるべく減らそうと努力しました。映画で表現される人生の短い瞬間というのは、人生の一部として、記憶の片鱗として残るものです。彼の人生の一部として、区切りを表現するために力を注ぎました。

Q.映画で「日本は階級社会」という台詞が出てきますが、同意しますか?

妻夫木聡:階級社会が存在するとは思います。ただ、以前に比べたら大分なくなっているのではないかと思いますが、僕たちが知らない世界にそのような階層というのは日本にも残っているのではないかと思います。この作品でそんな部分をきちんと表現することもかなり重要でした。監督が直視して、よく表現できたのではないかと思います。

Q.在日韓国人3世のイ・サンイル監督の作品「悪人」「怒り」では、特有の明るいイメージとは違う妻夫木さんの隠れた横顔を垣間見れたような気がしました。心地のいい不慣れさでした。「愚行録」まで含めてここ数年、韓国で公開される映画の中で、妻夫木さんの役は内面を詮索するキャラクターですね。

妻夫木聡:やはり人間という存在は、影というか、暗い面をみんな持っています。そのような部分を確実に直視して描こうという考えは持っていました。ただ一度そんな役を演じると、ずっとそのような役だけが入ってくるみたいです(笑)。

Q.妻夫木さんの俳優人生について教えてください。

妻夫木聡:20代初めは、映画という仕事に接すること自体が非常に幸せでした。20代後半に入ってから、自分が演技をしながら受けた評価に縛られました。振り返ってみると、当時は早く大人になりたかったんだと思います。30代になってみると、子供のような部分がそのまま残っていました。幼稚な部分があるからって何だ、まぁ初めからまた築いていけばいい、自分自身を流れに任せればいい、あまり大人っぽく行動しようとせずに……こんな考えがむしろ心を楽にさせました。純粋に演技するのがおもしろいです。ある意味では一生大人にならない方がよさそうです(笑)。

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2019.01.14