舞台は鮮やかな紅葉の季節
以上の3つのキャラクターをコン・ユは巧みに演じ分けている。
それは、地球の引力に耐えることができなくなった枯葉が表と裏を見せてゆっくり落ちていく様子を連想させる。
このあたりがドラマに深遠な世界を持ち込んでいるのだ。
表だけでなく、裏だけでなく、ゆっくりと表と裏を交互に見せていく。
そのことによってドラマは限りない多様性を表現することができている。それを主導しているのが、間違いなくコン・ユの研ぎ澄まされた演技だ。
また、『トッケビ』そのものも、秋の鮮やかな紅葉が背景になっている。
まさに哀愁の世界だ。
ドラマの前半でウンタクと対面するときのキム・シンも、まさに哀愁を漂わせた存在であった。
彼は雨を降らすことも天気を回復させることもできる万能の男。しかし、1人の女性を前にすると、感情だけはどうしてもコントロールできなくなる。
その落差を演じるコン・ユが秀逸だ。
彼は、『トッケビ』のテーマである「生」と「死」が交差する瞬間を哀愁たっぷりに演じきっている。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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