怒りが収まらない英祖
思悼世子が王の寝殿に入ってきて前庭で平伏した。しかし、英祖はあえて戸を閉めて、しばらく思悼世子に会わなかった。英祖も怒りを必死に静めようとしていたのだ。しかし、感情を抑えることはできなかった。
英祖は思悼世子を叱りつけるようにどなった。
「お前は本当に、王の孫の母(思悼世子の子供を産んだ側室をさしている)を殺したり、宮中を抜け出して遊び歩いたりしているのか。世子なのに、どうしてそんなことができるのか」
思悼世子はただ地面に伏してうなだれているしかなかった。
英祖の怒気を含んだ言葉が続く。
「側近の者たちが余に何も知らせなかったが、もし羅景彦がいなかったら、余がどうやってそれを知ることができたのか。王の孫の母は余も大変気に入っていたのに、どうして殺したりしたのか。こんなことをしていて、国が滅びないとでも言えるのか」
英祖の叱責を受けて、思悼世子はこう願い出た。
「どうか、羅景彦に会わせてください。彼に問いただしてみたいのです」
しかし、英祖はピシャリと言い切った。
「そんな必要はない。代理の者たちがすでに問いただしている」(4ページに続く)