「イベントレポ」N.Flying、ボーカル2人で約1年ぶりの単独ライブ開催 「軍隊にいる3人と皆さんを繋ぐステージ」 トリプルアンコールまで大熱演

韓国発のロックバンドN.Flying(エヌフライング)が、約1年ぶりとなる日本ワンマンライブ「N.Flying SH&HS ZEPP LIVE 2023 "HOWLING"」を大阪と東京で開催した。メンバーの入隊に伴い、今回はボーカルのイ・スンヒョプとユ・フェスンのみの来日となったが、5人分の想いを乗せた熱いパフォーマンスにファンも共鳴。ここでは、止まない歓声にトリプルアンコールで応えた、9月15日の東京・Zepp Haneda公演の模様をレポートする。

N.Flyingは、イ・スンヒョプ(ボーカル&ラップ)、ユ・フェスン(ボーカル)、チャ・フン(ギター)、キム・ジェヒョン(ドラム)、ソ・ドンソン(ベース) の5人からなる韓国出身のロックバンド。現在は、チャ・フン、ジェヒョン、ドンソンの楽器担当3名が入隊中のため、2名のボーカル、スンヒョプとフェスンで活動中。今回のライブには、3名のサポートメンバーを従えて臨んだ。

オープニングSEに乗って、勢いよく走りながら登場したスンヒョプとフェスン。スンヒョプの「東京、ソリチルロ(叫べ)!」の掛け声で「Songbird」をスタートさせると、フロアはたちまちそのリズムに併せて揺れる。ステージの左右を交差しながら歌い煽る2人は、「Stand By Me」までの3曲をいっきに駆け抜けた。

N.Flyingは、昨年10月に初の単独Zeppツアーを行い、今回が2度目のZeppワンマン。2015年5月の韓国デビュー前から日本でインディーズバンドとして活動していた彼ら。ライブ活動を始めてからずっと憧れ続けたZeppでの単独ライブまでに9年かかった故に、「今年も同じステージに戻ってこられて嬉しい」と感慨深げに語るスンヒョプ。フェスンは「去年と違って、N.Fia(N.Flyingファンの呼称)の皆さんの声も聞けるし、笑顔も見られるのでワクワクしています!」と言って「TOKYO~!!」と叫ぶと、ファンの大きなレスポンスを身体いっぱいに浴びて「トリハダたつ!」と喜んだ。そしてスンヒョプが「僕たちが夢見ていたZeppの熱さを今、全身で感じています。今回はチャ・フンくんと、ジェヒョンくんと、ドンソンくんがお休みですが、2人でも5人分のエネルギーをお届けできるように頑張るので、最後まで聴いてください」とライブへの意気込みを語った。

「Hot Potato」では、音がブレイクするタイミングで、バトンを渡すポーズで一時停止するスンヒョプとフェスン。ファンも大きなファンコールの声を上げて彼らを盛り上げる。「Endless Summer」では、ファンとのコール&レスポンスを全身で楽しみ、最後はスンヒョプが盛大なキスのジェスチャーで沸かせ、会場には楽しいムードが満ち溢れた。

ライブらしいファンとの交感に、「本当に幸せ!」と興奮気味のフェスン。熱を帯びたフロアに「手を高く上げて、一緒に歌って、ジャンプして暑さを忘れるくらい盛り上がると、涼しくなります!」とアドバイスして、オルタナティブな「Moonshot」から、2人のボーカリスト、スンヒョプとフェスンの異なる歌声の魅力が映える楽曲が並ぶブロックに突入。スンヒョプの低音のラップと、フェスンのハイトーンのボーカルの対比が見事なスピード感あふれる「Lupin」や、重いビートでたたみこむ「Say Goodbye」など、一筋縄ではいかないミクスチャーなロックサウンドは、“N.Flyingのらしさ”といえる楽曲群だろう。

MCはもちろん、すべて日本語で。久々の日本での単独ライブに、「日本でライブをすると“戻ってきたな”と感じます。やっぱり日本でのライブは最高ですね!」とスンヒョプが言えば、フェスンが「ライブはもちろんですが、牛丼や納豆を食べると“帰ってきたな”と感じます。こういうの日本では、おふくろの味って言うんですよね?」と問いかける。「おふくろの味」なんて意外な日本語を口にしたフェスンは、「皆さんともっとコミュニケーションが取りたくて、また日本語の勉強を始めました。今は、アニメ『SPY×FAMILY』を見て、勉強中。メンバー全員、日本のアニメが好きなので、いつかアニメのOSTをやりたいです」と抱負を語ると、「どこかに関係者は?」と、さらに高度な日本語を口にしてファンを笑わせた。

またこの日、東京をゲリラ雷雨が襲った話になると、「いきなり雨が振って、びっくりしました。僕たちのライブの日は雨が多いので、韓国では“雨Flying”と言われているんです」と言うフェスン。そこからスンヒョプの「いきなりといえば、昨日、“いきなりステーキ”を食べました」と、日本語でのフリートークも絶好調だ。

トークの後に続いたのは、軽快だがN.Flyingの想いが溢れた感性的なロック曲たち。特に今回、日本初パフォーマンスとなった「Blue Moon」は、3人のメンバーの入隊前最後となるデビュー8周年記念日にリリースしたファンソングなだけに、彼らにとってもファンにとっても特別な曲になったようだ。曲中のシンガロングは、N.Flyingとファンのお互いを思いやる気持ちが交差しているかのようだった。スンヒョプがアコースティックギターを手にした「Delight」でその想いはさらに熱くなり、フェスンの情熱的な高音ボイスが曲を彩った。

「N.Flyingは、“青春”というキーワードがぴったりなバンド。今歌った「Delight」や「Songbird」、「Stand By Me」は、N.Flyingの青春っぽさに、J-POPやJ-ROCKらしさが入っていて、大好きな曲。日本1stアルバム『BROTHERHOOD』の曲は、エネルギーが高くなる」とフェスンが楽曲について語ったが、今回のセットリストについてスンヒョプは、「韓国の曲はもちろん、日本1stアルバム『BROTHERHOOD』の曲もたくさん入れました。日本のN.Fiaには、日本の曲を聴いてほしかった。こんなに盛り上がってくれて、本当にありがとうございます」と感謝を伝えた。

「次が最後のブロックです」と伝えると、フロアから上がる「え~~~!」という大きな声。それを聞いて「最高の“え~”です」と笑顔を見せたスンヒョプは、「うちのメンバーたちも、韓国で“え~”と言っていると思います。次のブロックは、僕たち5人が大好きな曲たち。最後まで、思い切り楽しんでください!」と言って、「Amnesia」に突入。そして熱はどんどん高まり、本編最後の「Kick-Ass」では、会場中が一体となって、リズムと合わせてジャンプで盛り上げた。

その熱は、すぐさま「アンコール」の声に。どんどん大きくなる声に促され、スンヒョプとフェスンが全速力で登場。「UP ALL NIGHT」を終えると、「1年ぶりにZepp Hanedaに帰ってきました。今日、このライブができて、僕とフェスンくんは本当に幸せでした」とファンに向けてサムズアップするスンヒョプ。そして「今年、もう一度お会いできますよね」と言うスンヒョプに、フェスンが、「そうなんですよ。12月16日と17日に、『FNC KINGDOM』が開催されます! FNCアーティストが年に一度集まる祭典なので、ぜひ遊びに来てください!」と年末の来日をアピールした。

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2023.10.06