世界的に人気を博している現在の韓国ドラマ。その隆盛を導いた要因がいくつかあるが、ケーブルテレビで放送されるドラマの質の高さと、それを支えているドラマ制作会社の成功が大きい。その流れを紹介しよう。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のメガヒットによって放送したENAは一躍有名になった
ドラマを制作する環境の変化
韓国では20世紀までは三大テレビ局(KBS、MBC、SBS)が自分たちでドラマを制作して放送するということが当たり前だったが、2000年以降にドラマ制作の現場で劇的な変化があった。
それは、三大テレビ局の社員だった優秀なPD(プロデューサーと監督を兼ねた人)が、自分が制作したドラマの成功を踏み台にして、積極的にテレビ局を退社して自らの制作会社を作る動きが加速したことだった。
当時は、大衆文化の振興をはかる政府もドラマ制作において外部委託を増やす政策を推し進めていて、独立したドラマ制作会社が増えて成果もあげていた。
こうして、力があるPDがドラマの制作レベルをさらにアップさせる傾向が顕著になっていった。その流れの中で後に「スタジオドラゴン」のような怪物級の制作会社も誕生した。
また、三大テレビ局だけでなく、ケーブルテレビ局がたくさん誕生して、韓国のテレビ環境は群雄割拠の「多チャンネル化」が加速した。
その中で、tvNやJTBCと言ったケーブルテレビ局が優れたドラマを放送するようになった。特に、この10年ほどのtvNの大成功は特筆すべきものだ。「このテレビ局がなければ傑作の多くが視聴者の目に触れることがなかった」と思うと、「韓国ドラマのために本当にtvNがあって良かった」と痛感する。
『ウ・ヨンウ』の大成功
上昇気流に乗っていた韓国ドラマをさらに後押ししたのが、配信サービスの充実ぶりだ。
特に、Netflixは韓国ドラマを放送と同時に配信するサービスを強化して、世界中の韓国ドラマ愛好者たちの需要に応えてきた。
以上のように、「スタジオドラゴンを代表とするドラマ制作会社の隆盛」「良質なドラマを放送するケーブルテレビの奮闘」「韓国ドラマを世界標準に育てた配信サービスの充実ぶり」などが好循環の輪を作って韓国ドラマを活性化させている。
さらに、今年は新たな動きも起こった。ENAのように知名度が低いケーブルテレビ局が『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』というメガヒットを飛ばし、誰もが知るテレビ局として認知されるようになった。
以上のように、様々な相乗効果を生かして発展を続ける韓国ドラマ界。大人気となった『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のように面白いドラマが、今後も次々に生まれることを大いに期待している。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)