「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.210「キム・テリに魅了された!」

韓国tvNで放送された『二十五、二十一』が4月3日で終わった。ネットフリックスでも同時配信されたので日本でも人気となったが、これでキム・テリとナム・ジュヒョクという主役2人の青春ストーリーが終わったかと思うと本当に寂しい。

画像提供=tvN

創造的な女優
『二十五、二十一』は全16話だが、第1話から魅了された。
脚本家・演出家・俳優陣がみんな素晴らしい才能の持ち主で、ドラマの完成度が本当に高かった。
その中でも特に驚くべき天才ぶりを見せたのが、ヒロインを演じたキム・テリだ。
彼女は実年齢が31歳だったのに、本当に自然に女子高校生ナ・ヒドになりきれた。
あれほど天真爛漫なキャラを30代の女優が完璧に演じていて、ただ感心するばかりだった。よほど天性の女優魂を持っているのだろう。
演出家から細かく指示されなくても、キム・テリは自分が演じる役を創造的に捉えて、その場にふさわしい姿を見せてくれた。
序盤で、ナ・ヒドが漫画『フルハウス』を貸本屋から借りたのに破いてしまった場面が秀逸だった。
それを返却するとき、店番をしていたペク・イジン(ナム・ジュヒョク)はあきれていた。ナ・ヒド自身がページの破損した部分を自分で描いていたからだ。
そのことを咎められたナ・ヒドは、ロレツが回らないような言い訳をして逃げていった。そのときの「あわてっぷり」は女子高校生そのものだ。見ていた視聴者にしてみれば、笑いが止まらない場面だったことだろう。

等身大で演じた

ドラマの随所で、キム・テリの恐ろしいほどの表現力が爆発した。
とにかく、縦横無尽のエネルギーを持っていて、いつでもキャラに没入して「あるべき自分」に変身できる。
さらに、以下のような圧巻の演技力を讃えたい。
・フェンシング競技の動きが俊敏だった
・喜怒哀楽を自然体で見せてくれた
・恋の喜びに目覚めていく変化が美しかった
特に、ドラマの後半に入って人間的に成長していく様子をキム・テリは等身大で演じて深い印象を残した。
最終的に『二十五、二十一』は誰もが高く評価するほどの傑作となった。キム・テリの演技力がドラマを大いに牽引したことは間違いない。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

2022.04.09