「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.205「いま見るなら『二十五、二十一』!」

韓国tvNで放送中でありネットフリックスでも同時配信されている『二十五、二十一』が話題になっている。主役コンビの魅力、名言が多いセリフ、鮮烈な映像美、ワクワクするようなストーリーなど、とても見どころが多いドラマだ。

画像提供=tvN

痛快な演技
主役はナム・ジュヒョクとキム・テリ。
この2人がとても魅力的だ。
『二十五、二十一』で演じるのは、22歳の苦学生ペク・イジンと18歳の女子高校生ナ・ヒド。その2人が25歳と21歳になって真実の愛をつかんでいく過程をドラマは抒情的に描いていく。
ただ驚嘆するのは、キム・テリのとてつもない演技力だ。彼女は30歳を過ぎているが、高校生を等身大に演じていて違和感がまるでない。本当の高校生に見える。しかも、ハツラツとした青春をからだいっぱいで表現していて、見ていても痛快。キム・テリの女優魂には感心させられてばかりだ。
ナム・ジュヒョクも、彼の持ち味であるセンチメンタリズムがよく出ている。前作の『スタートアップ : 夢の扉』で愁いのある演技を存分に披露していたが、『二十五、二十一』では苦難に負けまいと必死に生きるペク・イジンをひたむきに演じていて、とても好感が持てる。本当にいい俳優になってきた。

効果的な色彩

『二十五、二十一』について語りたいことは山ほどあるが、一つにしぼって取り上げると、映像のすばらしさであり、特にカラーの使い方だ。
具体的にいうと、赤と青と水色の三つが効果的に映像を彩っている。
赤が示しているのは、ペク・イジンが乗るスポーツカーだ。第6話までの展開でこの赤いスポーツカーが何度も出てきた。特に、アジア大会の決勝にナ・ヒドが遅れそうなとき、ペク・イジンが赤いスポーツカーで彼女のピンチを救った。
赤は情熱の色。ペク・イジンのナ・ヒドに対する熱い恋心を象徴していた。
青が示しているのは、フェンシングの競技で使われる表示灯だ。ここで青が点灯すると、ドラマが大いに活気づく。小道具として申し分のないカラーであった。
そして、水色が示しているのは雨だ。
雨は、『二十五、二十一』の重要な場面で何度も降ってくる。このときに使われる傘もとても印象に残る。
しかも、雨だけではなく、水のしぶきも水色を強烈に印象づけた。
たとえば、ナ・ヒドとペク・イジンは学校の校庭で蛇口をさかさまにして噴水のように水色を描き出していた。
あの光景は、後に振り返れば「幸せの絶頂」だったのかもしれない。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

2022.03.05