「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.172「貞明公主の堂々たる人生」

子供たちに残した言葉

1672年、最愛の夫であった洪柱元が66歳で亡くなり、貞明公主は寂しい晩年を過ごすようになった。
79歳のとき、彼女は遺言のつもりで子供たちに教訓を残している。
「私が願うのは、お前たちが他人の過ちを聞いたときに、まるで父母の名前を聞いたときのように耳だけにおさめて、口では言わないということだ。他人の長所や短所を取り上げるのが好きだったり、政治や法令を途方もなく言い争ったり……そんなことはとても憎むべきことである。さらには、死んだあとであっても、子孫の間でそんな行ないが起こったということは聞きたくない」
貞明公主は、このように子供たちを諭した。

さらに、「人の過ちに寛容であること」「人の道にはずれないこと」「一族が仲良く暮らすこと」などを繰り返し説いている。
そうやって、一族を正しい道に導きながら、貞明公主は1685年に82歳でこの世を去っている。
本当に波乱万丈な人生だった。

文=康熙奉(カン・ヒボン)

2021.07.17