「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.171「希望を見い出せるドラマ」

ジアンの悲しみ

IUが演じるジアンは、このドラマの象徴だ。
仮に職場にいたら、本当に嫌な女で、そばにいたくないだろう。
けれど、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』はジアンの生い立ちから今の生活までを丹念に追っていく。
すると、見えてくる。
ジアンの苦しみは、もしかしたら自分の苦しみなのではないか、と。
彼女は、生い立ちからそう仕向けられてきた。立場を変えれば、誰もがそうならざるをえない状況があった。
それに、いちはやく気づいたのが、イ・ソンギュンが演じるドンフンだった。

彼もドラマの序盤では死んだような目をしていた。
そんな彼だから、「同類」としてジアンの悲しみが少しは理解できた。
そして、社内のみんなが毛嫌いするジアンのことを「いい子」だと悟るようになった。
ここから、ドラマに明るい陽射しが少しさしてきた。
まさに、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』はドンフンとジアンが諦めていた希望を見い出すドラマだった。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

2021.07.10