「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.156「放送から丸3年の傑作」

『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』が韓国で放送を開始したのは、2018年3月だった。それから3年の歳月が流れたのだが、いまだに多くの視聴者を新たに獲得している。それほどの傑作だったのだ。

視聴者にこびない

『マイ・ディア・ミスター』というドラマは、序盤はとても重く苦しい展開が続く。IUが演じるジアンは、父が残した借金に苦しめられてどん底の生活を強いられていく。
そして、構造エンジニアのドンフン(イ・ソンギュン)は、左遷させられて社内で冷たい目で見られていた。
そんな二人の様子が、最初から救いようがない形で描かれていく。見る側も、いたたまれない気分になったりする。そんなこともあり、せっかく見始めたのに第2話か第3話で見るのをやめてしまったという人も意外と多い。

その心情はよくわかる。辛いことが多い世相の中で「できればもっと明るいドラマを!」という気持ちになる人が多いのも仕方がないことだ。
最近のドラマは、序盤に派手なシーンを連続的に組み込んで視聴者の関心を呼び込もうという仕掛けをよく出してくる。しかし、『マイ・ディア・ミスター』はそういう配慮がまったくない。あくまでも、視聴者にこびないで制作側が自分たちの好きなように作っている。その徹底ぶりは見事である。
かくして、ドラマはジアンとドンフンの苦しい境遇を延々と描いていく。しかし、そこからドラマが急に動いていく。
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2021.03.27