「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.156「放送から丸3年の傑作」

二つの軸がある

『マイ・ディア・ミスター』は、序盤から中盤に移っていくと、数々のエピソードが有機的にからみあって、展開がとても面白くなる。
加えて、ドンフンの兄弟たち(三兄弟なのである)や町内の仲間や居酒屋がどんどん登場してきて、一転して活気あるストーリーになっていく。
そんな展開には二つの軸がある。

一つはドンフンの会社の社内抗争だ。社長派と専務派が激しく対立して、ドンフンも抗争に巻き込まれていくのだが、このあたりはスリリングな戦いになっていく。
もう一つの軸は、ドンフンを囲む仲間たちの人間ドラマだ。なじみの居酒屋で展開されるドンフンと兄弟・友人たちの交流は、見ていても本当に羨ましくなるほどに楽しいし、友情や郷土愛を感じる。
さらには、ジアンとドンフンの関係性も緊迫感をともなってくる。その中でも、苦境にあった二人がお互いに惹かれ合いながら生き返っていくところがとても興味深かった。
こうして『マイ・ディア・ミスター』は最高の脚本と創造性豊かな演出と卓越した俳優陣が見事に融合して傑作の中の傑作となった。
初放送から丸三年。『マイ・ディア・ミスター』はさらに輝きを増している。

文=康熙奉(カン・ヒボン)

2021.03.27