人間賛歌の傑作
3人の兄弟は連日、たくさんの酒を酌み交わす。とにかく、三兄弟はベタベタしすぎている。そして、見ていて羨ましいほど仲がいい。
そんな三兄弟が住んでいるのはソウルの後渓(フゲ)という街で、住民は地元への愛着を持っている。
象徴的なエピソードになっているのが、ドンフンが悪い奴と殴り合いになったときだ。なじみの酒場に集まっていた人たちが、ドンフンを助けようとして血相を変えて集団で街中を走り回っていく。
その騒動を見ていると、人はここまで仲間のことを助けられるのだろうかと不思議な気分になってくる。そんな温かみがあるのが、『マイ・ディア・ミスター』というドラマの特徴なのだ。
とにかく、ドンフンが勤める会社の社内抗争では緊張感が続く場面の連続だが、ドンフンが家路につくと、とたんにドラマがヒューマンタッチになっていく。
何よりも、困難に直面している人たちがたくさん登場するのだが、誰もが共助の恩恵によって救われていく。そういう意味でも、『マイ・ディア・ミスター』は見る人の心を温かくする人間賛歌の傑作だ。
まだ見ていない方は、今年の最後のドラマとしてぜひストーリーに入っていったらどうだろうか。きっと、ドラマで描く魅力的な人々の一員になれるかもしれない。
文=康熙奉(カン・ヒボン)