「インタビュー」ユン・シユン、「親愛なる判事様」オフィシャルインタビュー

◆ハン・ガンホとハン・スホというキャラクターに魅力を感じたのは具体的にどんな部分ですか?
ユン・シユン:スホという人物は、僕に似ている部分が多いなと思いました。ドラマの中では、とても冷徹なキャラクターですが、ドラマがガンホ目線で描かれているので余計にそう見えるのだと思います。とても合理的で理性的で、事の流れを広い視野から見ることのできる責任感のある人物です。共感したところがたくさんありました。それに判事は、公明正大で感情に流されてはいけません。判事の決断が、社会のパラダイムを変えてしまうかもしれない。無罪判決を下すことで、同じような犯罪がまた起こってしまうかもしれないし、有罪判決を下すことで再発予防になるかもしれない。絶対に、感情に流されてはいけないと思うんです。そういう部分から、スホという人物に対して、共感したところがあって…。でもそれを本作では単に冷たい人物として表現してみました。
反対に、ガンホには、僕が経験したことのない自由奔放な姿を表現しようと心がけました。僕にはあまり持ってない姿でしたが、楽しく演じることができました。僕に似ているのはスホだけど、楽しく演じられたのはガンホでしたね。おもしろいじゃないですか。法廷で暴れて、裏金を貰えなかったとすねてみたり、誰かを刑務所に送ったり。本当にありえないシチュエーションですが、とても楽しかったです。

◆前科5犯のガンホと、優秀判事のスホ。正反対のキャラクターでしたが、それぞれのキャラクターを演じる際に何か心がけた点や努力した点はありますか? 一人二役を演じ分けた圧倒的な演技力が賞賛されましたが・・・
ユン・シユン:ガンホに対して、最初に思い浮かんだ言葉が「不協和音」でした。僕たちの知る法廷ドラマの典型的なストーリーの中で、不協和音を奏でる人物になろうと思いました。できるだけ場違いで、違和感を与えられるように演じました。
スホはガンホとは正反対だったので、まずガンホというキャラクターを完璧に作り上げた後に、スホという人物を作ることにしました。演技面では、むしろスホを演じるのが大変なこともありました。役者にとって、何かを表現することはむしろ楽な事なんです。普段から、何かを表現しなければいけないという圧迫もありますし。でも、スホはそれをグッと堪えなければいけないので苦労しました。感情も抑えなければいけないし、我慢もしなければならない。役者は何かを見せなければいけないという気持ちを常に持っています。特に僕のような、まだ学ぶことの多い役者には、そういう気持ちがあるんです。

◆特にスホは優秀判事ということで難しい専門用語もたくさん出てきましたが、習得するコツはあったのでしょうか?
ユン・シユン:僕がいつも決まりごとのように行っていることがあります。僕なりのルーティーンがあって。撮影に入る二日前には、必ずセリフを丸暗記します。台本が変わる可能性があったり、仮台本だとしても必ず暗記すること。僕たちにとって暗記はとても大切なことだと思うんですよね。丸暗記した後、24時間くらい経つと忘れてしまうんですけど。でも、忘れてからまた暗記し直すと、脳の中で長期記憶に変わって本当に暗記することができるんです。動きを合わせたり演技をするときに、自然と僕の口からセリフが出てくるように、必ず一度忘れる工程を踏みます。だから、正確に覚えるというより早く覚えてから忘れるために、できるだけ早く暗記しようとしています。そして、忘れたセリフを覚え直した時にやっと僕のセリフになるんです。そのルーティーンは必ず守ろうとしています。もし、一日しか時間がなくても、その日に覚えて、その次の日の夜中にまた覚え直すチェックをしています。
以前、イ・スンジェ先生がこんなことをおっしゃっていました。セリフは基本中の基本だと。正直にいうと、主演俳優がNGをだしても周りのスタッフは忙しいからと庇ってくれるのですが、本当は恥ずかしいことなんです。基本中の基本なんです。セリフの準備をしないなら、主人公を演じてはいけないんです。これは、僕の言葉ではなく、イ・スンジェ先生の言葉です。基本なんですよ。どんな手を使ってでも、セリフは覚えなければいけません。

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2020.05.01