【コラム】“20%視聴率達成”ソ・ジソブ主演SBSドラマ「エージェント・キム」などから考える…“父親たちの復讐はなぜ視聴者たちを飽きさせないのか”

キム部長は、安物のスーツに隠していた本来の姿を現した瞬間から、自分の正体を隠そうとはしない。その結果、彼を追う北朝鮮側だけでなく、決して北朝鮮へ渡すわけにはいかない韓国側までもが、一斉に彼を追跡し始める。劇中のキム部長は、一挙手一投足が国家レベルの緊急事態を招く危険人物として描かれている。

それでもキム部長は、その評価に違わぬ圧倒的な力で、娘を捜す道を阻む敵を次々となぎ倒していく。

そして私たちは知っている。キム部長は負けない。どんな困難も乗り越え、最後には娘を救い出し、涙の再会を果たすだろうということを。

試練はあっても結末は揺るがない。その安心感があるからこそ、視聴者は「勝つか負けるか」ではなく、「どれほど圧倒的に勝つのか」を楽しめる。不安なく味わえる緊張感――結果を知っていても手に汗握る過程こそ、“パパユニバース”が繰り返し支持される最大の理由なのだ。


キム部長を演じるソ・ジソブについても触れたい。「エージェント・キム:リアクティベーティッド」は、13年ぶりとなるSBSドラマ復帰作だ。アクションと復讐劇は、彼にとって決して珍しいジャンルではない。昨年Netflixで配信された「広場」でも、亡き弟の復讐に挑むナム・ギジュン役を演じ、重厚なノワールアクションを見せた。

似たタイプの役柄を続けて選んだことに不安はなかったのか。そう問われたソ・ジソブは放送前、こう語っている。

「ただ殴るだけではなく、一発一発の拳に感情を込めようとした」

「一人で娘を育てる父親を演じる自分自身にも興味があった」

その言葉どおり、本作ではアクションだけでなく、娘だけを思う父親の切実な感情表現が際立っている。

そのまなざしや所作からにじみ出る感情は、「アジョシ」でウォンビンが演じたチャ・テシクを思い起こさせる。チャ・テシクと同じように、キム部長の怒りもまた、胸の奥に押し込めた感情が一気にあふれ出した結果なのだ。娘を捜す父親には、泣く時間も怒る時間もない。

■“独立映画の支援者”ソ・ジソブのもう一つの顔

一方で、「エージェント・キム:リアクティベーティッド」のヒットの背景には、映画ファンの後押しもあったのではないかとの声もある。

実際、ソ・ジソブは映画配給会社「チャンラン(Challan Film Company)」と共に、10年以上にわたり独立・アート映画の輸入を続けてきた。代表作には「ヘレディタリー/継承」(2018)、「ミッドサマー」(2019)、「サブスタンス」(2024)、「関心領域」(2024)などがある。

彼が独立映画の輸入を続ける理由は、商業的な利益ではなく、「良い作品を観客へ届けたい」という信念にある。昨年のインタビューでも、「映画の輸入は、自分が受け取ってきたものを返すという意味がある」と語っていた。

その積み重ねに応えようと、映画ファンがリアルタイム視聴を呼びかける動きを見せたという見方もある。

もちろん、それだけが高視聴率の理由ではない。しかし、俳優が積み重ねてきた信頼や活動が作品への期待につながることを示した一例と言えるだろう。

最後に、SBSドラマ制作会社スタジオSのホン・ソンチャン代表の言葉を紹介したい。

「コンテンツさえ面白ければ、視聴者は今もテレビの前に集まる。そのことが証明された」

さらに、「『エージェント・キム:リアクティベーティッド』は、大切な人を守るため、普通の人がどこまで強くなれるのかを真正面から描いた作品だ。その普遍的なテーマが、世代や国境を超えて多くの視聴者の共感を呼んだのではないか」と作品への自信を語った。

WOW!Korea提供

2026.07.12