
「ファンミーティングになった舞台あいさつ、俳優や作品への好感度が高まる」
“ミステリアスの代名詞”チョン・ジヒョンが、劇場で観客の呼びかけに駆けつけ、ミームの要請に最善を尽くして応じる姿が話題だ。かわいらしいファンサービスを披露する映像は、SNSで公開後、数百万回の再生回数を記録し、熱い反響を呼んだ。
このようなファンへのフレンドリーな舞台あいさつは、チョン・ジヒョンだけの話ではない。ファンが直々に編んでプレゼントしたマフラーを身に着けたまま、舞台あいさつに登場したチェ・ミンシクをはじめ、キム・ソンチョル、チョ・インソン、シン・セギョン、パク・ジフン、キム・ヘユン、チャン・ダアなども、各席を回りながら、観客と目を合わせて写真を撮影するなど、積極的なコミュニケーションに乗り出した。
今や、劇場の舞台あいさつは単純に、“映画を楽しく観てください”というあいさつを伝えて去る場を超えている。観客と直々に心を通じ合わせるファンミーティング型のイベントに進化し、新しい文化として定着しつつある。
映画界では、このような変化の出発点として、「破墓/パミョ」を挙げている。その後、「ヒューミント」、「王と生きる男」、「サルモクチ」、「群体」などでも、ファンミーティング型の舞台あいさつが続き、観客参加型のイベントが拡散される雰囲気だ。
ある配給会社の関係者は、ヘラルドミューズに、「舞台あいさつは、映画が劇場で上映される期間にだけ体験できる差別化された体験だと思っている」とし、「このような経験をさらに豊かにするために、監督や俳優、スタッフのみんなが、多様なアイデアを出している」と伝えた。
別の配給会社の関係者は、「SNSの話題性コンテンツがニュースや記事など、いわゆる“レガシーメディア”へと転換する傾向が加速するなか、話題を先取りするための広報・マーケティング戦略の一環として、舞台あいさつや各種イベントが、ますます規格化している」と説明した。
ある劇場関係者は、「劇場が単純な映画観覧を超えて、体験し経験する空間へと変貌している流れとも関連があると見ている」と分析した。

過去の舞台あいさつは、監督と俳優たちが映画の上映前後に劇場を訪れ、観客たちに、「映画を楽しく観てください」、「口コミをよろしく」というあいさつを伝えるだけにとどまるケースが大部分だった。ここに抽選による簡単な景品の贈呈が加わる程度が、すべてだった。
しかし、パンデミック後、舞台あいさつの風景は、大きく変わった。俳優たちが客席を直々に回りながら、観客たちと写真を撮り、現場で即席のファンミーティングを披露するなど、観客参加型のイベントに進化したのだ。
代表的な事例は、「破墓/パミョ」だ。当時、チェ・ミンシクは、ファンがプレゼントしたヘアバンドや帽子など、各種小道具を現場で着用し、一風変わった魅力を披露した。強烈なカリスマのイメージとは相反する親しみやすい姿は、オンラインで爆発的な反応を引き起こし、「シクバオ」、「みかんミンシク」、「妖精ミンシク」などの愛称まで誕生した。ファンが準備した小物で飾る、いわゆる“ハルック”(おじいさん飾り)の文化が流行のように広がった。
ある配給会社の関係者は、「パンデミック後から観客が、単純に観覧するのを超えて、直々に体験する形で映画を楽しみ始めたようだ」とし、「その変化を最も実感させた作品が、まさしく『破墓/パミョ』だった。観客が、主演俳優たちと積極的に交流を図るのはもちろん、舞台あいさつ自体をひとつの公演のように楽しむ雰囲気が形成された」と明らかにした。
また別の配給会社の関係者は、「パンデミック後、ソーシャルディスタンスにより、オフラインでの交流に対する渇きが高まり、舞台あいさつ文化も変化し始めた」とし、「特に『破墓/パミョ』の“ハルック”の舞台あいさつが、SNSで大きな話題を呼んだあと、観客がプレゼントした小物を着用したり、スケッチブックでの交流、ミーム再現など、さまざまなファンサービスが拡散された。このような成功事例が蓄積されながら、舞台あいさつは単純なプロモーションイベントを超え、ひとつの文化として定着した」と付け加えた。
〇 OTT時代の劇場の新しい競争力…闇チケット・過熱は残された宿題
何より、舞台あいさつの現場の瞬間は、ショートフォームプラットフォームやSNSを通じて、速やかに拡散され、現場に足を運べなかった大衆たちにまで届いている。舞台あいさつが、もはや劇場の中に限定された経験ではなく、オンラインコンテンツとして消費され、俳優個人はもちろん、作品に対する関心と好感度を高める効果を出しているという評価だ。
ある配給会社の関係者は、「舞台あいさつ現場の好意的な反応が、オンラインで拡散されれば、作品だけでなく、俳優の新しい魅力にも関心が続く場合が多い」とし、「好きな監督や俳優と直々に会い、コミュニケーションを図れるという特別な経験のために、舞台あいさつに訪れる観客たちも、徐々に増えている」と述べた。
劇場の関係者も、「ショートフォームコンテンツが日常化しながら、観客が直々に撮影した俳優と監督の姿が、自然にコンテンツとなっている」とし、「このような映像が、SNSを通じて拡散され、自発的なPR効果につながっている」と付け加えた。
また別の配給会社の関係者は、「スクリーンの中の俳優と近くで会い、直接コミュニケーションできる点は、OTTには代われない劇場だけの強み」とし、「最近の観客は、オンラインでのレビューやコンテンツを確認した後、観覧を決める傾向が顕著だ」と伝えた。続けて、「SNSやコミュニティを通じて拡散される俳優の人間的で愉快なファンサービスの映像は、アルゴリズムを通じて、作品を知らなかった大衆にも自然に露出される」とし、「これは、作品に対する好感度を高めるのはもちろん、観客が直々に関連コンテンツを生産するよう促し、強力なマーケティング効果を生み出す。さらに、N回目の観覧にもつながる可能性がある」と強調した。
(2ページに続く)









