「合同インタビュー」映画『告白、あるいは完璧な弁護』ユン・ジョンソク監督、「久しぶりに書く手紙の相手がまさかソ・ジソブさんになるとは思いませんでした(笑)」

劇中、ユ・ミンホの不倫関係にあり、密室殺人事件の被害者キム・セヒを演じたAFTERSCHOOLのナナのキャスティングついて、監督は「ナナさんは強烈なイメージを持ちながら、そのすべてがベールに包まれているような神秘性を与える俳優だと思っています。そのような彼女の印象がキム・セヒというキャラクターを演じるのに最適だと考えました。実際、ナナさんはキム・セヒを完璧に演じてくれました。抑制された動きと台詞の運びをみると、ナナさんが備えている俳優としての基本がいかにしっかりしているかがわかると思います」と話した。


映画では、もう一つ事件が関わってくる。行方不明になった息子を探す父親ハン・ヨンソクを演じたチェ・グァンイルは、「私が探していたヨンソクだった」と話す監督。

「彼と初めて会った際にヨンソクのキャラクターについて話し合い、確信しました。チェ・グァンイルさんは落ち着いた雰囲気の中に、熱い溶岩を含んでいるようなパワーを持った俳優に見えました。 彼はヨンソクの日常的な姿から、豹変する激しい感情ところまで、とても細かく演じ分けてくれました。表現できる感情が本当に広い俳優です。最後に決まった役でしたが、チェ・グァンイルさんに会えたのは本当に嬉しい瞬間でした」。

撮影現場は山荘やホテルなどの限られた空間の中で物語が展開していくこともあり、撮影の事前準備に長い期間を費やしたという。彼は「映画の特性上、とても限られている空間で制限された人物が出ているので、演劇的な要素がたくさんあると思います。カメラも近くにありますし、俳優達の表情が重要な映画なので、俳優たちの繊細な動きなどを細かくチェックする必要がありました。撮影現場ではそういった時間もないので・・・。すべてのスタッフと俳優がお互いに意見を交換し合って、準備を完全にした状態で撮影に入りました。そのおかげで、より効果的な撮影ができました」と明かした。

また、本作は回想シーンが多く出てくる作品。これはソ・ジソブが演じたユ・ミンホが弁護士に当時の状況を説明していくからだ

「メインの空間は山荘なのですが、事故現場やホテルの部屋などのフラッシュバックに出てくるものを先に撮影しました。そして、撮影したものを編集してから山荘に持って行き撮影に入りました。合間にフラッシュバックが入るのですが、頭の中でフラッシュバックのシーンを描かなければならないので、俳優にとっては大変なことだと思ったんです。ですが、私たちは先にフラッシュバックの撮影をしたので、フラッシュバックの映像の台詞と合わせながら撮影をしていきました」。

メインの空間は山荘ではあるが、上空から雪景色を見せたり、映画のオープニングクレジット部分の絵が滲んでいく様子などを見せたり、こだわって撮影していることが伺える

「台本を書くときから、頭の中に描いていました。事件的にも感情的にもどういったところで撮影するのが良いのかと考えた結果、“冬”、“雪”、“山奥にある別荘”というものが浮かんできました。そういったコンセプトが決まったことで、オープニングのクレジットのイラストも作ることになりました。止まっているようだけど徐々に広がっていき、死んでいるように見えるけど、じっとしているのではなく動いていくような、そういったことをイラスト作家のナムグン・スヨンさんと話し合って作りました。撮影しながらも季節的な空間的なひんやりとした感じを生かすための場所を探しました。韓国だけでなく、こういったジャンルの映画を観るとテンポが速くて華麗なカメラワークなどがあって、そういったことが話題になりがちですが、最初は穏やかで静かな感じに見えるけど、だんだんいろんな話しが合わさっていき、クライマックスにもっていくような、一つ一つが積もっていくような感じにしたかったんです」。

また、衣装やヘアスタイルにもこだわったそうだ彼は「人物を中心とした映画だったので、衣装やヘアスタイルについてとても気を使いました。ユ・ミンホが内面を正直に出さないという点からセーターを着せたり、作品の中で気持ちが焦っていく感情に合わせてフィットするような服装にしました」と説明した。

さまざまな点にこだわりを見せ、完璧に撮影していったわけだが、撮影中に大変だったこともあったそうだ。監督は「雪が降ってほしいと思ったのですが、撮影中はあまりにも雪が降りませんでした。こんなにも降らないとは思ってもいなかったのですが、結局、人工雪を使いました。なので、雪の準備をするだけで時間がかかり、撮影するのが遅くなってしまったこともありました。そこが一番大変でした。それから、別荘の撮影をするときにソ・ジソブさんが酷い風邪にかかってしまったんです。なので、3日間くらい声が完全に出なくなってしまったのですが、その時は台詞のない表情をメインとした撮影をしました。そのときは、体力的に大変だったと思います」と話し、面白いエピソードについては「ソ・ジソブはいつも撮影現場にキャンディバスケットを持って登場しました。スタッフにキャンディーを配って挨拶をすることで一日を始める"sweet guy"でした。しかし、彼が演じたユ・ミンホは正反対の甘くないキャラクターでした。そのため彼本来の甘い男の姿から甘くない男のミンホという相反するキャラクターを演じるのは、俳優としてかなり高度な集中力が必要だったと思います。それでもソ・ジソブは毎瞬間驚くほど集中し、正確な演技でキャラクターと状況を表現していました」と、エピソードを話してくれた。

映画『告白、あるいは完璧な弁護』予告編/6月23日(金)公開

告白、あるいは完璧な弁護

6月23日(金)シネマート新宿、シネスイッチ銀座、グランドシネマサンシャイン池袋、YEBISU GARDEN CINEMA 、シネマート心斎橋 他 全国順次ロードショー

<STORY>

密室殺人容疑をかけられた男と敏腕弁護士。雪で閉ざされた山荘で2 人は、事件の真相を追い始めるー。

IT 企業社長ユ・ミンホの不倫相手キム・セヒが密室のホテルで殺された。事件の第一容疑者となったミンホは潔白を主張し、100%無罪を勝ち取る敏腕弁護士ヤン・シネを雇い事件の真相を探り出す―。そこで以前に起きた一つの交通事故がセヒの殺人に関係しているかもしれないと告白し、事件の再検証がはじまるが…。錯綜する2 つの事件と証言。その真実は誰のためのものなのか。欲望に隠された<衝撃の事実>に辿り着いたとき、切ない“痛み”があなたを襲う。

<クレジット>

キャスト:ソ・ジソブ、キム・ユンジン、ナナ(AFTER SCHOOL)、チェ・グァンイル

監督・脚本:ユン・ジョンソク『マリン・ボーイ』

製作:リアライズピクチャーズ『王になった男』『神と共に 第一章:罪と罰』『神と共に 第二章:因と縁』

2022/韓国/105 分/DCP/スコープサイズ2.40:1/カラー/5.1ch/字幕:HTO MEDIA/原題:자백

配給:シンカ 宣伝:フラッグ 提供:シンカ、フラッグ、エスピーオー

公式サイト:https://synca.jp/kokuhakuaruiwa/ @SYNCA_asia #告白あるいは完璧な弁護

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2023.06.06