「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.227「パク・ウンビンの『恋慕』!」

韓国で大人気となっている『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。主役のパク・ウンビンが素晴らしい演技を披露しているが、彼女の前作として大評判だったのが時代劇の『恋慕』だった。このドラマに改めて注目してみよう。

画像=KBS

入れ替わった2人

『恋慕』は韓国KBSで2021年10月11日から放送開始された全20話の時代劇で、Netflixでも同時配信されたので日本でも人気を集めていた。
主演はパク・ウンビンとロウン。2人の共演は魅力的だった。
物語は朝鮮王朝の王家で不吉とされる双子が世子嬪(セジャビン/世子の妻)から生まれるところから始まる。
双子は男女で、女の子は抹殺される運命だが、かろうじて生き残って、やがては宮女として王宮に入ってくる。それがタミだった。
彼女の兄は王の孫として成長したイ・フィ。2人はお互いに双子ということを知らずに、顔がそっくりという事実を巧みに使って身分を入れ替える「遊び」に興じる。だが、これは本当に危険な遊戯だった。なんと、タミは殺される運命だが、身分を入れ替えていたのでイ・フィのほうが誤って殺されてしまったのだ。
こうして、タミが女性でありながらイ・フィに成り代わることになった。王族を取り巻く権力継承の過程で起きた突発的な出来事だった。

緊迫した場面

成長したイ・フィ(実際はタミ)。パク・ウンビンが男装して演じているが、ドラマの中では他人を寄せ付けない冷淡な世子になっていた。
しかし、女心は隠せない。ロウンが演じる学問の師匠チョン・ジウンに惹かれていく。
とはいえ、冷たい態度を変えるわけにもいかない。そのあたりの葛藤をパク・ウンビンが敏感な情緒で演じていた。
2人の関係を象徴的に描いたのが第4話のシーンだった。
弓の達人のイ・フィの前で、ロウンが自分の意見を聞いてもらうために賭けをする場面だ。彼は弓の標的になる。冷淡なイ・フィは今にもチョン・ジウンを弓で射抜く雰囲気だった。非常に緊迫した中で、あえてイ・フィはロウンの命を救ったが、明らかに彼女の心境に変化が訪れた瞬間だった。
それにしても、パク・ウンビンの世子の姿は凛々しくて強い意志を感じさせた。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の彼女とはまったく違う面を見せたのだが、表情の見せ方が本当に素敵だった。
また、韓服がよく似合うロウンも、天才的な博学ぶりを見せる師匠を理知的に演じた。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』でパク・ウンビンに興味を持った人はぜひ『恋慕』を見てみよう。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

2022.08.06