「コラム」康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.200「『その年、私たちは』を見る幸せ」

ドラマ『その年、私たちは』は韓国SBSでの放送が1月25日で終わった。日本でもネットフリックスで配信されたので、見た人が多いことだろう。ランキング1位になるほどの人気作品になっていた。

画像提供=韓国SBS

10年にわたる邂逅と離別の物語

多くの人が今は不安な日々を過ごしている。
「安らぎたい」
そういう気持ちになるのも自然だ。そんなときに本当に安らいだのが『その年、私たちは』を見ている時間だった。
透明感に包まれたドラマである。
映像も、リビングを照らす冬の陽ざしのようなシーンの連続だった。
その中で、チェ・ウシクが演じている天才的な画風を持ったチェ・ウンと、キム・ダミが扮した明確な意志を持つ才女のヨンスが、10年にわたる邂逅(かいこう)と離別のラブロマンスを繰り広げた。
2人は高校時代の同級生だ。しかし、成績はトップとビリ。もちろん、ビリはチェ・ウンのほうだ。
両極端な2人が教室で机を並べて学園生活を送る……そんなドキュメンタリーのテレビ番組の主人公になったチェ・ウンとヨンスは、率直に相手への思いをカメラに向かって吐露する。そうした展開で『その年、私たちは』は進んでいく。

主人公2人が魅力的

ドラマが描く時間軸は、行ったり来たりしている。
メインになっているのは10年後のチェ・ウンとヨンスで、2人はドキュメンタリー番組が終わったあとも恋人同士として付き合ったのだが、5年前にヨンスの一方的な別れ宣言で別々の道を歩んでいた。
その後、チェ・ウンは独特なタッチで建造物を描くイラストレーターとして成功していて、彼の絵をクライアントから広告に使いたいと要請された広報プロデューサーのヨンスが、チェ・ウンを訪ねていくところから新しいラブロマンスが始まった。
それにしても、2人のキャラクターがとても魅力的だ。
チェ・ウンは、欲望をあからさまにしないで淡々と我が道を行く。周囲を騒がしくすることもなく、自分の感性のままに生きている。そんなチェ・ウンをチェ・ウシクが肩の力を抜いて温かく演じた。
ヨンスは、自分の才能をまっすぐに信じられる女性だ。周囲と妥協することもなく、自分を無理に飾ったりもしない。そんなヨンスをキム・ダミは歯切れのいいテンポで快活に演じていた。
優しい光が差し込み、心を潤してくれる曲が響き、視聴者が2人の行く末を見守れる展開が続き、そして、爽やかな余韻を残して物語が終わった。
安らぎがほしいときに何度でも安心して繰り返し見返せるのが『その年、私たちは』というドラマだった。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

 

2022.01.29