Q: はじめにストーリーを読んだ感想を教えてください。
キム・ソンオ:僕は台本でストーリーを知りました。その台本が小説のような感覚で読めるようなものだったんです。僕は原作に接していませんが、このドラマが放送されて少し時間が経ったら、撮影現場を思い起こしながらぜひ原作も読んでみたいと思います。
キム・テヒ:私は原作よりも先に台本を読みました。(ジュランは)自分の気持ちをはっきり表現しない人物で、セリフが少ないので心理状態の把握が難しかったです。その後に原作を読んで感じたことは、意外と平凡な女性かもしれないということでした。原作では心理状態が詳しく描写されていて、台本よりジュランを理解しやすかったです。
イム・ジヨン:2 話までの台本を読んだ時点で続きが気になってしまい、正式オファーの前に原作を読み終えました。一気に読みながら、自分にぴったりの役だと思いました。謎めいた 2 人の女性がとても魅力的に見えたんです。役者としてこの作品に挑戦したいという気持ちが芽生えました。
チェ・ジェリム:僕はキャスティングを提案されて、監督とスタジオドラゴンの方々と会う前に、原作を読みました。原作は文体がとても個性的で、描写がドライかつ淡々としてるんです。登場人物たちも露骨に感情を表しません。俯瞰で描かれた絵画を眺めるように、スラスラと読み進められました。事件やそれにまつわる人間関係はハードなんですが、読者は冷静に推移を見守れるんです。その点に独特な魅力を感じつつ、台本を読み始めました。ドラマの台本を書いたチアニさんは視聴者を意識し、登場人物の感情を生き生きと表現したんです。モノトーンに色が加えられるようでインスピレーションを受けました。
Q:皆さんが演じた役の魅力と演じる上で心掛けたことも教えてください。
キム・ソンオ:僕は本作でパク・ジェホを演じました。ジェホの職業は医師です。美しい妻と一人息子がいます。もちろん富裕層ではあるんですが、ある意味では平凡な人物です。ある日自宅の庭から謎の匂いが漂ってきます。順風満帆だった家庭が突如として思いもよらぬ事態に直面するんです――。ジェホというキャラクターに魅力を感じた部分は、彼が善人なのか悪人なのかは重要ではないというところです。彼はある目的を果たそうとしていて、行動が明確な理由に基づいています。自分のためではなく、その家に住む家族を守るための行動です。それは見方によっては現実的な理由だと言えます。身近な例を挙げるとすると、心から愛し合い結婚した男女でもケンカがエスカレートし離婚に至ることもあります。そうなる前に踏みとどまれるとしたらその理由は、今までの暮らしや家族を守るためでしょう。そういったごく一般的なエピソードが、ジェホという人物の内面から連想されます。そこが意外で面白く感じられるので、きっと視聴者もジェホに共感すると思います。
Q:テヒさんにとって久々のドラマ復帰作ですね。初挑戦のサスペンススリラーでどう役作りされたのか、役の魅力と合わせて教えてください。
キム・テヒ:今作はスリラーですが、恐怖を感じさせるというより、人の心理にスポットを当てたドラマです。
そのためジュランの心理を理解するよう努め、それをどう表現すべきか考えました。彼女は事件に翻弄され自分を信じられずにいます。そんな状態を泣き叫んで表現するか、自分の世界に入り込んでブツブツつぶやくか、選択肢はたくさんあります。まず自分ならどうするかと考えたんですが、結局ジュランらしさを追求することにしました。
Q:ジヨンさんはトレーラーで苦しそうなシーンが多かったですね。あれほどハードな人生を送る女性を演じること自体が苦しかったのでは?役作りや役の魅力についても教えてください。
イム・ジヨン:私が演じたサンウンは DV を受けている妊婦です。人生を悲観し、なげやりになっています。
貧困に苦しみ、いまだに幸せを知りません。サンウンほど悲惨でどん底の生活を送り続けた人は、必然的にやさぐれた雰囲気を醸してしまうと思うんです。だから、表現力豊かな人物を演じるときよりも、台本の行間を読み解くよう心掛けました。立っているだけで彼女がどう生きてきたか想像できるくらいに、感じてもらえると良いなと思っています。
(2ページに続く)