その意識は今の「大韓民国」と「朝鮮民主主義人民共和国」という国号にも表れています。「韓国」は古代国家の「韓」の国からきており、一八九七年の「大韓帝国」に受け継がれていますし、「朝鮮」は古代国家の元祖「古朝鮮」から「朝鮮王朝」を経て今日に至っています。
この意識は国の名前に限らず個人の「氏」にも反映されています。その象徴が韓国人が誇る「族譜」です。「私の姓は何百年前から続く由緒ある家系を継いでいる印」と大変誇りにしています。
このように韓国人はその地政学的位置から武力を増強しても限界があるので独自の善を「文」にもとめ存在を保全してきたのです。常に強大国の脅威にさらされてきたこの民族は、自身の歴史の連続性を継承し道徳性を極めることを生存の拠りどころとしてきたのです。
その結果、この国は大陸や島国にはない独特の価値観を育んできました。
その連続性にストップをかけたのが近代日本であり、三十六年間の植民地化でした。あの強大な中国の王朝唐、元や清の侵略を受けても自治権を失わなかった誇り高き韓国人にとって日本の植民地化は受け入れがたい屈辱でした。そして独自の言葉と誇りの拠りどころである「苗字」の剥奪(日本化)はその存在理由を打ち消したのでした。
韓国人にとって、古代において漢字・農業など先進技術を伝播させた弟分(?)の日本から侵略され、その独自の国を奪われたのは大変屈辱でもありました。
よく日本の皆さんの中に、「台湾は植民地になっても親日なのに韓国は」と言われる方がいますが、先進の技術や制度のなかった国にとっては日本の統治に得るものが多かったに違いありません。ところが韓国には古代に先進技術を日本に伝授したという意識が根底にあったので日本の植民地政策の受けとめ方が違います。ましてや三千年の歴史のなかで直接支配された経験がない韓国にとっては。
●もっと韓国を知るためのことば
チャグン コチュガ メプタ 小さい唐辛子がからい
日本のことわざに「ウドの大木」がありますが、それとは逆に小さくてもピリッとしっかりしていることのたとえです。私の独断では、大きく強大な中国に隣接している韓半島の国にとって、「馬鹿でかく大きければいい」ではなく、小さくても賢明で利発であると自分を誇っているような気がします。
※文=権鎔大(ゴン・ヨンデ)韓日気質比較研究会代表の寄稿。ソウル大学史学科卒業、同新聞大学院修了。出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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