●韓国のプライド
小倉紀蔵『韓国は一個の哲学である』に「朝鮮半島は常に北と南からの侵略の脅威にさらされてきた。外圧と儒教〈朱子学〉の影響で道徳的理を追い求めてきた」という内容のことが書かれています。
韓国は大きくて喧嘩の強い相手に力では勝てないので、その存在を抹殺されないために一生懸命勉強して身を守ったという見方もできます。「武」がなければ「文」を極め、たとえ小さくとも悠久の歴史を育んで来たというプライドが独自の存在を維持してきました。
世界地図を見てもユーラシア大陸東のちょこっとした半島に韓民族が独立国として持ちこたえているばかりか、その小さい国土(日本の四分の一)でG20に入る経済力を持ち、「民主主義」制度を取り入れるまでになりました。
このユーラシア大陸北東地域は蒙古、女真、契丹、遼、韃靼など幾多の民族が攻防を繰り広げましたが、残ったのは韓民族と蒙古民族だけです。代わる代わる台頭する国からの侵略によくもこれまで持ちこたえたと誇りに思います。大陸から海へ、島から大陸への道すがらであるこの国の地政学的位置は一言で「過酷」だったと言わざるを得ません。
この驚異的な粘りは神代の昔から脈々と育んで来た由緒ある血統つきの民族であるという自負心です。ややもすれば折れてしまう心を持ちこたえさせたのは「あんな過酷な状況の中でも先祖たちは持ちこたえたのだから、これしきのことは」という歴史を教訓としたからであり、それを受け継いでいくという歴史意識と連続性へのこだわりでした。
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