ヤン・セジョン×シン・ヘソン主演『30だけど17です』は、17歳で昏睡状態に陥り30歳で目を覚ました女性と17歳の時に心を閉ざしたまま30歳になった男性が繰り広げるロマンティックラブコメディ。本作は意外にもヘレン・ケラーの名言がモチーフになっている作品だ。
希望を見出せるドラマ
Netflixで配信中の『30だけど17です』は2018年に韓国SBSで放送され、多くの賞を受賞した作品。脚本は『彼女はキレイだった』のチョ・ソンヒで、演出は『君の声が聞こえる』のチョ・スウォン。これだけで、コミカルさの中に温かさを兼ね備えた作品だということが想像できる。
ウ・ソリ(パク・シウン/子役)は芸術高校でバイオリンを専攻している17歳。ある日交通事故で昏睡状態に陥るが13年後奇跡的に目を覚ます。30歳のソリ(シン・へソン)は、自分が30歳になってしまったことや住んでいた街が様変わりしている様子にショックを受ける。ソリはかつて住んでいた家に向かうが、そこには見知らぬ男ウジン(ヤン・セジョン)が住んでいた。
高校時代ウジンはソリに片思いをしていた。しかし、ウジンの目の前でバス事故が起こり、ソリが巻き込まれてしまう。ソリが亡くなったと思い込んだウジンは心を閉ざしたまま13年間生きていた。いきなり大人の女性として蘇ったソリをソリ本人だと気付かないウジン。そんな2人はひょんなことから共同生活を始めることになる。
本作の主演は『浪漫ドクター キム・サブ』や時代劇『私の国』などヒット作に多数出演しているヤン・セジョン。彼は『ザ・キング:永遠の君主』のウ・ドファン『マイ・ディア・ミスター』のチャン・ギヨンと共に“花の92年組TOP3”と呼ばれており、その名の通り人気の高い俳優の1人だ。
ヤン・セジョンはウ・ドファンと共に現役入隊中。チャン・ギヨンが8月23日に入隊するため“花の92年組TOP3”は2021年8月現在、全員現役入隊中ということになる。
劇中、ヤン・セジョンが演じるのは舞台デザイナーのウジン。常にメジャー片手にそこかしこのサイズを計りまくっているため、周りから変態扱いされることもしばしば。そんなウジンの前に1人の女性ソリが現れたことで、閉ざされていたウジンの心が少しずつ変化していく。
一方、ウ・ソリを演じるのは『黄金の私の人生』で多くの韓流ファンの注目を集めたシン・ヘソン。13年もの昏睡状態から目覚めたソリは鏡に映る自分の姿に「このおばさん誰!?」と絶叫する。天然でおっちょこちょいのソリがとにかく可愛いのだ。
ソリは心根がやさしく正直な女性。ひたむきにがんばるヒロインに共感できるドラマは見ていて気持ちがいい。
韓国で2020年に放送されたフュージョンコメディ時代劇『哲仁王后』でもコミカルなシン・ヘソンを楽しめるが、そのコミカルさの発端は本作ではないかと思えるほど、劇中では超絶コミカルなシン・ヘソンが堪能できる。
また、ウジンの甥っ子であるユ・チャン(アン・ヒョソプ)も共同生活の一員となるのだが、チャンが年上女性ソリに抱くひたむきな恋心もかなり胸キュンものだ。『浪漫ドクター キム・サブ2』等でも注目を浴びているアン・ヒョソプ。8月末から韓国で放送開始の時代劇『ホンチョンギ』に主演するアン・ヒョソプの初々しい姿が見られるのも本作の見どころの一つだ。
本作は、意外にもヘレン・ケラーの名言がモチーフになっている。その名言とは「一つの幸せのドアが閉じる時、もう一つのドアが開かれる。しかし、私たちはつい閉じたドアばかりに目を奪われ、開いたドアに気付かない」というもの。
ひどい事故で人生が歪んでしまった2人の男女が出会い、別の幸せの扉を開いてみようと懸命に努力する姿はまさにこの名言そのものだ。
私たちは日々小さな後悔の連続で、ともすれば挫けっぱなしだったりもする。たとえ挫けることがあっても、少し心の向きを変えてみればすぐそばの幸せが見えてくるのかもしれない。希望を見出せるドラマはいつ見ても清々しい。
文=朋 道佳
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コラム提供:ロコレ