彼の力量
テレビ部門の男性最優秀演技賞の受賞が発表された瞬間、テレビ画面はそれぞれの候補者を写しだしていたが、イ・ジュンギは結果を率直に受け取るような表情を見せていた。まさに「納得!」という感じで、実に潔い姿だった。
むしろ、候補者としてこの授賞式の現場にいられたことを最大の名誉に考えているといった雰囲気であり、イ・ジュンギの人間性を十分にうかがい知ることができた。
そもそも、「悪の花」でイ・ジュンギは、日常を騙し続ける男を演じた。そうせざるをえなかったのは、残酷な過去を持っていたからだ。
過去をあからさまにしたら生きていけない男……それが主人公のペク・ヒソンであり、イ・ジュンギが迫真の演技で扮していた。
そして、「悪の花」は視聴率的にはそれほど高くなかったが、放送が終わったあともとても評判が良く、ますます作品性を讃えられている。
それは、今回の百想芸術大賞で作品賞にノミネートされるほどであり、受賞には至らなかったが、その評価は揺るがなかった。
そして、主演のイ・ジュンギも演技力が称賛され、改めて彼の力量が証明されたのであった。