定年後の女官
王に寵愛されるようになれば、女官は望みうる最高の待遇と権力を得ることができる。誰もが王の側室の座を狙ったことだろう。
とはいえ、大勢の女官の中で、王の目に止まる位置まで進み出ることさえ容易ではない。女性だけの世界にもかかわらず、女官が給料のすべてを使って自分を美しく飾ることに執着したのも、ただ王の気を引きたいためである。
しかし、いくら野望が大きくても、実現できた女官はほんのわずかな美女だけだった。そして、外部と遮断されたまま一生を王宮の中で送ってきた女官たちは、年を経て病気になれば王宮から出なければならなかった。
といっても、ずっと宮中にいたので外には頼るところもない。適当な家がなく、身の置き場所がないというのが現実だった。それゆえ、多くの女官が晩年は寂しい一生を送らなければならなかった。
そういう場面は時代劇にはまったく出てこない。定年を過ぎたあとの女官は本当に大変だったのだ。
文=康熙奉(カン・ヒボン)