【時代劇が面白い】仁祖の裏で暗躍した貴人・趙氏!

貴人(キイン)というのは、側室に与えられる二番目に高い品階のことである。最終的に貴人まで昇格した趙氏(チョシ)は、仁祖の長男夫婦に対してどれほどの悪事を働いたのだろうか。


失意の仁祖をなぐさめた側室

仁祖(インジョ)が統治していた1636年12月、清が10万を越える兵力で攻めてきた。
朝鮮王朝は完敗し、1637年1月に仁祖は漢江(ハンガン)のほとりで地面に頭をこすり付けて清の皇帝に謝罪し、朝鮮王朝はなんとか滅亡を免れた。
しかし、仁祖の息子3人は人質として清に送られてしまう。
仁祖が悲嘆に暮れて王宮に帰ってきたとき、やさしく慰めたのが趙氏である。この女性は相当な悪女なのだが……。
後に仁祖の娘や息子を産む。しかし、すでに仁祖には4人の息子がいた。もっとも、趙氏が産んだ息子というのは出来がよくなかったので、異母兄たちをさしおいて世子になるのは無理であった。
仁祖の長男は昭顕(ソヒョン)である。1637年に清の人質となったが、その妻は姜氏(カンシ)と言う

趙氏はこの姜氏と仲が悪かった。
昭顕は清で人質生活を送ったあと、1645年にようやく朝鮮半島に帰ってくるが、2カ月で突然死んでしまう。
この昭顕を毒殺したのが趙氏ではないかと言われている。
なぜかと言うと、昭顕が突然高熱を発したとき、鍼で治療した医師が趙氏と昵懇(じっこん)の間柄だった。それが、ドラマ『馬医』の第1回目で描かれていた毒殺の話なのである。
それでは、なぜ趙氏は昭顕を毒殺する必要があったのか。
実は、屈辱にまみれた仁祖は、清という国が憎くて仕方がなかった。
絶対に恨みを晴らそうと思っていた。
しかし、昭顕は人質時代に清にほれ込んで朝鮮王朝を清のような文明を持った国にしたいと意欲的だった。
結果的に、昭顕が帰国したあと、仁祖との仲が険悪になり、趙氏が仁祖の意向に沿うように暗躍したというわけなのだ。

朝鮮王朝の正式な歴史書である「朝鮮王朝実録」に、次のような記述がある。
「昭顕は、7つの穴から血が噴き出して、毒殺されたようであった」
ここまで「朝鮮王朝実録」ははっきりと書いているのだ。趙氏の関与は疑いのないことなのである。
(2ページに続く)

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2021.03.07