「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.74「思い出の青山島」

ハン・ヒョジュが演じた主人公ウニュンの家

家は年月を経て風格が出る

しばらく縁側に腰掛けながら、ハルモニとお喋りをした。
「この家はね、今は部分的に改装してあるけど、建ってから200年は経つわ。このあたりでは一番古いはずよ」
「『春のワルツ』の撮影で使われましたよね」
「そう。監督がぜひ撮影に使いたいということだったから、私は喜んで使ってもらったの。なぜ、こんな古い家が良かったのか……」
ハルモニはそう言ったが、よくわからないのだろう……古いだけの家にどんな価値があるのか、と。
しかし、映画やドラマを制作する側からみれば、古い民家ほど絵になる。家は年月を経て風格が出るものなのだ。
ハルモニが言った。

「撮影で貸したとき、謝礼もいただいたわよ」
「そうだったんですか」
「金額は内緒。どうしても知りたいと言うなら、教えてあげてもいいけど」
お茶目にふるまうハルモニ。「どうしても」というわけではないので、謝礼の金額は聞かないことにした。意外とハルモニは話したかったのかもしれないが……。
「何を作っていたんですか。熱心に土をいじっていたみたいですけれど」
「私はこう見えても忙しいのよ。花を植えたり、雑草を抜いたり……」
そう言って、泥だらけの両手を掲げて見せてくれた。
あのときの笑顔……今も鮮明に覚えている。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

 

2019.06.08