「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.74「思い出の青山島」

『春のワルツ』の舞台となった青山島

ユン・ソクホ監督には「四季シリーズ」と呼ばれる4部作があり、制作順に言うと『秋の童話』『冬のソナタ』『夏の香り』『春のワルツ』となっている。最後の『春のワルツ』は視聴率が良くなかったが私は大好きで、そのロケ地となった青山島(チョンサンド)に取材で行ったことが本当に良き思い出になっている。

主人公ウニョンの家

青山島は、朝鮮半島の西南岸に位置する莞島(ワンド)から南に約20キロメートルの距離にある。面積は伊豆大島の半分くらい。住民は3千人ほどだ。
その青山島は本当に風光明媚な島だった。ユン・ソクホ監督がここをロケ地に選んだ理由もよくわかる。
特に行きたかったのが、ハン・ヒョジュが演じた主人公ウニョンの家だ。とても情緒がある民家だった。
私が実際に行ったのは2007年のことだ。
当時、80代のハルモニ(老年の女性)が1人で暮らしていた。

お会いしたとき、オレンジのシャツと青いスラックスを身につけていた。派手な出で立ちなのだが、素直に若々しいといった印象を持った。両手が泥だらけになっているのは、ずっと庭いじりをしていたからだろう。
「どんな御用?」
ハルモニは首をかしげていたが、私が日本から来たと知ると、途端に親しみやすい笑顔を見せた。
「よく来たね。私のダンナさんはもう亡くなったけど、昔は10年くらい日本に住んでいたことがあるの。日本の話をよく聞かされたよ。これも何かの縁だね」
そう語るハルモニにカメラを向けると、笑顔のポーズまで作ってくれた。愛嬌がほとばしっていた。

(2ページに続く)

2019.06.08