「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.71「時代劇の傑作『王女の男』」

現代に通じる普遍性

テレビドラマも娯楽の一つであるという立場で言えば、歴史的出来事を起こった通りに描くことだけがすべてではない、と思える。確かに、時代劇は歴史を素材にしているが、その歴史に縛りつけられることはない、という考え方も成り立つのだ。
『王女の男』のストーリーは歴史上の大事件を核にしながらも、実在の人物をわりと奔放に描いていた。
つまり、現代的な人物描写が主となっていたのだ。

そのおかげで、朝鮮王朝について詳しくない人が見ても、『王女の男』は純粋な人間ドラマとして堪能できる。
そこに、現代に通じる普遍性がある。
現実的なことを言えば、日本でも韓国でも多くのテレビドラマが制作されていても、後々まで記憶されるような傑作はごくわずかだ。私の例でいえば、傑作は何年に1本という割合だ。
それだけに、気苦労の多い現代社会で『王女の男』というドラマを心から楽しめるのは、実に幸せなことである。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

2019.05.18