イム・バルンの母親はつらくはあったが、生命に支障はない尿路結石だった。先に診察を受けたお年寄りは脳出血の救急患者だった。我に返って周りを見回した彼は、一晩中救急室を守るために疲れた医者や、痛くても黙々と待つしかない患者たちを見た。弱者の力無さと権力の恥ずかしさを同時に感じたイム・バルンは、通りで叫ばざるを負えない人々の心が分かるようになった。
ある状況では法と規則で争わなければならないと信じるイム・バルンだったが、急な状況で他の患者が先に治療を受けるという見かけだけで裏の関係を疑い、怒りに叫び、人脈を使って問題を解決しようとした。しかしすぐに過ちを悟った。原則を優先してきたイム・バルンは、誰でも切迫した状況に陥った時は、理性的で合理的にはなれないことを初めて理解するようになった。
人間イム・バルンの成長はすなわち裁判官イム・バルンの成熟でもある。「お金も人脈もなくて漠然とした怒りで通りに飛び出す」人々が納得して法を受け入れるための媒介になることも裁判官の仕事だった。団長の事件を深く理解して法理で圧迫する代わりに他人の事情の中に入って行く準備を終えた後、口ではなく耳を傾けようと心を開くイム・バルンの変化が深い余韻を残したと評価された。
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