「コラム」連載 康熙奉(カン・ヒボン)のオンジェナ韓流Vol.22「映画『1987』が描く民主化」

昨年末に韓国で公開された映画『1987、ある闘いの真実』(以下、『1987』と表記)。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も鑑賞して涙を流したという。活況を呈する韓国映画界の中でも、『1987』は非常に高い評価を得た傑作である。

当時の韓国を克明に再現

映画『1987』は、1987年に韓国で起こった民主化抗争を描いている。
当時の民主化抗争と言えば、韓国社会を劇的に民主化に導いた大変重要な闘争だったのだが、日本ではその状況をよく知らない人も多いだろう。そんなこともあり、私はこの映画の歴史背景を説明する解説文をパンフレット用に書いている。
この映画が公開された2017年は、民主化抗争からちょうど30年という記念すべき年だった。そういう時期に、革新系の文在寅政権が誕生したというのも何か象徴的な気がする。
とにかく、『1987』は題材が興味深い。当時の民主化抗争というのは、ソウル大学の学生であったパク・ジョンチョル氏が拷問の末に亡くなったことが転機となった。警察はその拷問死を隠蔽したのだが、新聞でその工作が暴露されて、国民の怒りが沸騰して抗争が激化した。
そんな1987年の世相を映画『1987』は克明に再現しており、韓国の重要な現代史を知る上でも恰好の作品となっている。

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2018.06.02