とある関係者は、『このプロジェクトは史上初の試みだ。韓国や日本だけでなく全世界においても異例的な事であると思う。この作品は、その成功の如何とは関係なく、全世界において文化交流という面においては非常に極端的で攻撃的な先例になるだろう。それは、単にミュージカルだけでなく文化産業全般にかけての文化交流の新しい方向の提示になり、それだけでも存在価値の十分な作品になるだろう』という見解を明らかにした。
W2B Entertainment代表の高光源(コウ・グァンウォン)は、本プロジェクトを企画した背景に対して『「ミュージカル・尹東柱 ~花びらの涙~」は第2世界大戦当時の韓国と日本に限られた物語ではあるが、物語そのものが「純粋文学を通した人類の救い、人類愛」といった幅広い普遍的主題であるため、海外ライセンス販売やオリジナル公演の世界的進出に相応しいプロジェクトであると判断した』と企画背景を明らかにした。また、韓国と日本そしてどうしてドイツなのかについて『自分が歴史学者ではないため個人的な見解ではあるが、第2次世界大戦を単純に‘被害’と‘加害’の観点からすると、ドイツは加害側寄りだと思われるのだが、戦後ナチスとの断絶を通して被害側の感情も持っているであろう。‘加害’と‘被害’の両方の感情がわかるのがドイツ人であるだろう。韓国人よりも日本人よりもドイツ人が「ミュージカル・尹東柱 ~花びらの涙~」の感情を深く理解する事が出来ると思う』と、ドイツ公演企画の背景を明らかにした。また、ドイツ公演の現実性に関しては『数年前ヨーロッパの大手企画会社と一緒にアイスショーを進行したことがあり、その時の経験やノーハウが今回のプロジェクトに大きく役に立つと思う』と、現実的な抱負を明らかにした。
ドイツでの韓国のオリジナル作品の公演は実は初めてではない。既に1972年、尹伊桑(ユン・イサン)作曲家が韓国伝統の物語をオペラにしたオリジナル・オペラ「沈清(シムチョン)」が、ミュンヘン・オリンピック文化祭の開幕作として上演され好評を頂いた事がある。尹伊桑作曲家は尹東柱(ゆん・どんじゅ)と同じ1917年生まれで、ベルリンにある尹伊桑のお墓に、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の夫人である金正淑(キム・ジョンスク)夫人が今月の5日に参拝し話題になった。
1972年ミュンヘン・オリンピックに合わせ韓国のオリジナル作品が上演されたのと同じく、2020年東京オリンピックに合わせドイツのハンブルクと日本の東京での公演を準備している「ミュージカル・尹東柱 ~花びらの涙~」の今後の動きが注目を浴びている。
「ミュージカル・尹東柱 ~花びらの涙~」は、既に台本が完成され、作曲も進行中であり、今年の秋には全ての曲が完成される予定である。また、演出や振り付けなどの主なスタッフ構成の作業やキャスティングも既に進行中であり、今年の秋にはキャスティングを確定して発表する予定だ。
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