「コラム」傑作『王女の男』は何度見ても面白い!

描きたかったのは“正義”

韓国で時代劇を制作する人たちには、強い使命感がある。それは、歴史の大いなる教訓にしなければいけないという矜持(きょうじ)なのだ。
キム・ジョンミン監督もこう語っている。


「私個人が演出者として描きたかったのは“正義”ということです。首陽大君の時代が後世で注目される時期は、概して社会的に抑圧がひどいときです。王になるという目的のために兄弟と甥まで殺し、反対する人々を全部処罰した首陽大君。一方で、命をかけて抵抗した死六臣の姿。抑圧的な体制の代表的な時代が首陽大君が生きた時代です。歴史というのは、現実との接点を持っています。どうしてこの時期に首陽大君の話をまたしたのか。それは、韓国社会が最近、民主的な部分で後ずさりしているという問題意識があったからです。そういう意味で私は脚本家たちにも“どうして今の時代にこういう時代劇を作るのか”という意識を持っていてほしかったのです」
確かに、首陽大君は非道な形で王位を奪い、抵抗した死六臣は処刑されている。そうした不条理を現代に知らしめる役割を『王女の男』が果たしているのだ。
実に奥が深いドラマだ。

文=康 熙奉(カン ヒボン)
提供:ロコレ
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2017.06.22