『王女の男』には、第1話からグイグイと引き込まれた。人間と同様にドラマにも“格”というものが存在するとすれば、まさに『王女の男』はこれまでの時代劇とは一線を画す“別格”の作品だった。それほど、出来ばえが良かった。
視点が新しい
『王女の男』の見どころは多い。
たとえば、キャスティングの見事さ、史実をたくみに取り込んだストーリーの面白さ、心が躍るような画面の華やかさ、各場面に臨場感を与える挿入音楽の効果……。『王女の男』には細部に至るまで制作陣の創意と工夫が込められていた。
新しい視点も織り込まれている。
第1話でセリョンが敬恵(キョンヘ)王女の衣装部屋をグルリと見学する場面があったが、あのときのカメラアングルがセリョンの目と同一になっていた。すると、視聴者もまるでセリョンと一緒になって衣装部屋を見てまわっている気分になってきた。しかも、その衣装のなんとあでやかなこと!
ドラマはこうでなくてはいけない。見ている人の心を気持ち良く高揚させてこそ、作品は永遠の命を得られるのである。(ページ2に続く)