病的なほどの嫉妬深さ
尹氏は成宗の長男を産み、正室としての立場も磐石になった。途端に、尹氏の態度がガラリと変わった。
病的なほど嫉妬深くなった。
成宗には数多くの側室がいたのだが、特に成宗が足しげく通う側室を目の敵にして、その命を狙うようになった。
標的は、厳(オム)氏と鄭(チョン)氏だった。
尹氏は実家の母にも協力してもらい、厳氏と鄭氏を呪詛(じゅそ)にかけた。呪い殺そうというのである。
それだけでは飽き足らず、厳氏と鄭氏が王子を殺すための陰謀を企んでいると見せかけようとした。罠を二重に仕掛けたのだ。
たまたま成宗が尹氏の部屋にいるとき、砒素を見つけた。当時、砒素は人を毒殺するときに用いられる劇薬であった。さらに、尹氏の周辺を調べると、呪詛に使う文書なども出てきた。(ページ3に続く)