12月9日に国会によって弾劾された朴槿恵(パク・クネ)大統領。与党の半数が弾劾に賛成したというから、もはや四面楚歌の状態だ。そんな苦境の彼女を見ていると、朝鮮王朝時代に廃妃された末に死罪となった王妃をつい思い出してしまう。
9代王・成宗の正室
その王妃は今では「廃妃(ペビ)・尹(ユン)氏」とよく呼ばれる。
彼女は9代王・成宗(ソンジョン)の正室だったのだが、なぜ国王から離縁される羽目になったのか。
すべては彼女が企んだ悪行の報い、という言い方もできるだろう。
尹氏は1445年に生まれた。
名家の出身ではあったが、学者だった父が若くして亡くなり、尹氏の実家は経済的に困窮した。そういう事情があり、尹氏は女官として宮中に出仕した。
やがて、その美貌が評判となった。女好きで有名だった成宗が尹氏を見逃すはずがなかった。彼は12歳も年上の尹氏を側室に迎えた。1473年のことである。
その翌年、成宗の正室が病で亡くなった。こういう場合、朝鮮王朝の国王はすぐに次の正室を迎えることになっている。
通常は名家の10代の娘を選ぶのだが、異例なことに、成宗は1476年に尹氏を側室から王妃に昇格させた。よほど気に入っていたに違いない。(ページ2に続く)