韓国の名匠ホン・サンス監督の長編第28作目となる日本公開最新作『WALK UP』の日本劇場公開を記念して、主演のクォン・ヘヒョが韓国より緊急来日し、ヒューマントラストシネマ有楽町にて開催の日本最速上映会後のトークイベントに登壇しました。
「今日は、ずっと気になっていたことがあります。映画はいかがでしたでしょうか?」とステージから客席に語ると、満席の観客より大きな拍手が起こり、温かい雰囲気でトークがスタート。ホン・サンス監督から出演のオファーはどのように来るのかというMCの問いには「『WALK UP』は、ホン・サンス監督の28本目の映画で、私が出演した9本目の映画です。ホン・サンス監督からの出演オファーは、いつも同じ形でいただきます。それは、「いつからいつまで映画を撮る予定なんだけど、時間ある?」。それだけです。」と答え、場内の笑いを誘った。「いつも撮影の前日までどんな映画になるのか、まったく想像がつかないまま、撮影の当日に、その日の分だけの台本を貰います。ホン・サンス監督は、その日撮影したものを次の日の撮影の糧にするのです。私たち俳優は、次の日の撮影内容も知りません。」と明かし、観客を驚かせた。
メインストリームの大作『新感染半島 ファイナル・ステージ』や現在Netflixで配信中のドラマ『寄生獣-ザ・グレイ—』になど幅広い作品で活躍しているクォン氏だが、ホン・サンス監督作では『それから』以来の単独主演作になり、挑み方の違いについて問われると、「完璧な台本です。アドリブは一切なく、ホン・サンス監督は本当に精巧に精密に作品を作っています。撮影の日の朝、台本をいただいてから1時間でセリフを覚えます。ワインを飲むシーンはワンシーンで17分間ありますが、一気にセリフを覚えるので、かなりの集中力が必要とされます。」と、ホン・サンス監督への敬意をこめて撮影の裏側を語った。
さらに本作の舞台となる地上4階・地下1階建ての小さなアパートについて、「ホン・サンス監督から、ソウルの江南に面白い建物を見つけた。ここで撮影したら面白い映画ができると思う、というお話がありました。」と明かし、「ホン・サンス監督の作品世界は、非常に特別な構造で、繋がっているようで繋がっていない世界です。皆さんがご覧になった順番通りに、本当に順撮りしていくので、私も驚きながら撮影に臨んでいます。」と微笑みながら語った。
俳優として、どのように出演作を決めているのかという問いには「役柄の大きさに関わらず、作品の内容で決めていますが、私が若い頃からホン・サンス作品のファンでした。28年以上に渡り、唯一無二と言えるご自身の世界がある芸術家であり、作品を通して全世界にメッセージを送っている方です。」とホン・サンス監督への信頼をにじませた。
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